2009年1月の小ネタ
あけましておめでとうございます2009
あけましておめでとうございます。
昨年末はさすがの師走という感じで、ともかく色々と仕事やらイベントやら学会やら委員会やらを抱えておりました。 加えて年越しには論文の締切を抱えながら風邪まで引いてしまい、 三が日はずっと寝込んでおりました。ある意味寝正月でしたが、まったく冴えない年明けです。
しばらく、12月中の出来事でも思い出しながら書いておきます。思い出した順に書いていくので時系列はでたらめですがご了承のほどを。
それでは本年もよろしくお願いいたします。
オトダスト2に出演してきた
12月6日には、モバイルDTMイベント「オトダスト2」に出演してきました。 昨年7月に開催された「第3回 DEMOsa」 でも同じ会場でプレゼンをされていた、 YAMAHA TENORI-ON チームの杉井さん・西堀さんによる TENORI-ON についてのトークセッションの途中に、 僕が呼ばれてデモをする、という構成。もちろん、デモで披露したのはコレ。
話を聞いたときは我が耳を疑いましたが、なんと杉井さん直々の指名でお呼びがかかったのだとか。
これって、呼び出しってやつですか。
事前の打ち合わせで、ステージの杉井さんから声がかかったら登壇する、 という段取りが決まっていたのですが、いざ壇上に上ってみると職員室に呼び出された時の記憶が蘇えります。 おまけに、つい今し方 TENORI-ON を使った素晴しい演奏および 西堀さんによる詳しい解説つきデモがあった直後とあって、 「こいつ何者だ」という客席の皆さんの目が怖かったです。 「公開処刑」という言葉も頭をよぎりつつ、 なんとかデモを済ましたところでトークになった訳ですが、杉井さんの
「岩井さん、カンカンです」
の一言。
繰り返しになりますが、どうも本当にすいません。
※当日の様子がYouTubeで観られます。
科学技術館の立体ドーム映像での VJ を体験
12月17日には、科学技術館の立体ドーム映像施設「シンラドーム」での VJ イベントに行ってきました (イベントの模様はこの辺の記事を参照)。
シンラドームとは、オリハルコンの開発した、 アナグリフ式立体映像が投影できる全天周ドームで、 専用の眼鏡をかけると立体映像が周囲360度+天頂方向に拡がるという、 映像屋にとっては一度は作品を作ってみたいと思わずにはいられない施設。 そこで VJ イベントが開催されるとあっては行かない訳にはいかない。
という訳で観てきた訳ですが、全天周 VJ はやっぱりいいね。 全方向を映像に囲まれるというのは予想以上の没入感があった。
とはいえ、一時間近く、グリグリ動く立体映像に囲まれるのは、 思った以上に辛いとも言えた。結構目が疲れるし、逃げ場がないのね。 今回投影されていた映像は、世界初ということで気負いもあったと思うんだけど、 とにかくやたらめったら動いていたので、視線を退避させることができず、 ずっと何かを追いかけてなきゃならない。
あと、これは仕方ないんだけど、完全に映像の力が勝っちゃって、 DJ の音が添え物になっちゃった。DJ 自身もまったく目立っていなかった。 これは VJ としては結構珍しいことで、普通は映像は常に音の添え物というラインを突破できないんだけど、 やはり全天周立体映像のパワーは強かった。もちろん、ダンスフロアというものがなくて全員着座してのイベントだったこととか、 音楽がチップチューンだったこととか、ヘッドホンライブで低音の刺激がほとんど無かったことも影響としてあるだろう。
これは映像の作り方次第で突破口もある筈で、折角の全天周映像なんだから、 映像が動いていない場所なんてのも作れるし、 あえて 2D 映像を投影する場所を作ったり、文字で曲名を掲示したりなんてこともできる。 普段の平面スクリーンへの投影に比べると、全天周映像ってのは途方もなく広いのだから、 色んな使い道を試せる筈だ。バーカウンターの近くではドリンクメニューを投影するなんてこともできるのではないか。
そんな訳で、VJ の進化形としてこの方向はかなり有望だと思う。 ハコはもの凄く限られちゃうけど…。
EffecTV を初めて知った人が次にする事
ちょっと前から、Google で "EffecTV" を検索しても、「もしかして: effect」とは言われなくなっていたのには気づいていたのですが、 いつの間にやら Google Suggest でも補完してくれるようになっていました。 とうとう Google も EffecTV の価値に気がついてくれたようです。がしかし、 提示される候補が
effectv windows
なんだよね…。そうかー、やっぱりみんな Windows 版を探すんだな。
ちなみに Google 英語版だと、他に「effectv ubuntu」という選択肢も表示される。 Ubuntu スゲー。
それでも 0.02mm
昨年末、Love Distance という広告サイトが、広告主も対象商品もまったく明らかにされないままスタートしてたのを覚えているだろうか。 東京と福岡から、遠距離恋愛の二人が、お互いを目指して走り、 出会うまでの行程をリアルタイムでずっと中継し続けるという企画。 そのサイトには本当に広告主に関する情報は一切掲載されておらず、 一体何の広告なのかも分からないまま、ずっと二人の走り続ける様子のみ更新されていた。 お互いにやりとりしたメールや電話の記録も公開されていたため、 携帯電話の広告か? とか、ナイキじゃないの? なんて憶測がいろいろ飛び交っていた。
で、12月24日に、二人が大阪城でとうとう再会を果たした後に、 やっとこさ広告主が明かされたのだけど、なんと相模ゴム工業のサガミオリジナル、つまりコンドームなのだった。 二人が走っている間、その距離はずっとミリメートル単位で表示されていたんだけど、 最初 10億mm からスタートしたその数値は、最後には 0.02mm、 つまりこの距離はサガミオリジナルの薄さをアピールするためのものだったんだね。 これはまったく予想していなかった。
今から考えてみれば、いくつか気がつける要素はあった。距離の単位がずっと mm だったし、サイトデザインのあちこちで、定規の目盛らしきものが配置されていた。 二人の「距離」のことをそれとなく「長さ」として表現していた訳だ。
それにしても、二人の距離を詰めるためにこれだけの事をした後でも、 0.02mm は離れちゃうんだなぁ。というか 0.02mm 離れてます、ってことは、 現在使用中なの? という訳でこの広告を手がけていた人にゴール直後に聞いてみたら、
きょうは二人を交わらせないというコンセプトのもと、 翔平くんはずっと今まで連れ回され、イオリちゃんの部屋もわからない状態ですw
爆発は明日以降になります。
あんたら鬼や…
ちなみに二人の再会後に公開された CF がYouTube で観られるんだけど、 最後の花火が飛んでいく様子がまた…。
メディアアート15の条件
あいかわらず奇妙な人気を誇る TENORI-OFF のページへのバックリンクを辿っていたら、面白いページを発見。
Top 15 Criteria That Define Interactive or New Media Art (インタラクティブアートまたはメディアアート15の条件)
いきなり
- 動かないこと
- 電圧の違いや NTSC/PAL の違いその他諸々の理由で動かないこと
で始まるリストですが、「メディアアート」なる珍妙な世界に関わったことがある人なら誰もがうなずける、 恐しい条件が並んでいます。以下要約すると、
- 観客が机の下やら壁の裏やらを覗きこんでカメラを探す
- 誰かが生産者と消費者との関係が変化していることについて、その作品を引き合いに出して語っている
- 観客が作品の前でアヒルみたいにバタバタしながら作品を「体験」している
- 観客が互いに「これどういう仕組み?」と聞きあっている
- 学芸員があなたに、作品の横でその仕組みを説明しているよう求めてくる
- 解像度と色がお粗末なことを除けばとてもリアル
- 汚い格好をして一眼レフをぶら下げた人が親しげに「うんうん、僕にも作れそうだね。これパーリンノイズ? Processing 使ってるの?」などと話しかけてくる
- 上と同じような人が「これ Facebook app にしなよ!」と言ってくる
- 「アート作品」ではなく「プロジェクト」と名付けられている
- そのプロジェクトは昔どこかで見たことがあるものが、 マルチタッチ対応で 2.0 な感じになっただけ
- 観客がカメラやセンサを反応させようとしてあちこちに手をかざしている。 そうしたものをその作品が使っているかどうかに関わらず
- 滑らかに変化する赤・青・緑の照明効果がやたらと使われている
- 実はぜんぶ Photoshop で作られているんじゃないかとみんな疑っている
ボーナスとして
- どうやって体験するか、説明が書かれている
- 作品は購入できない。購入するとさらに追加で AppleCare に入るかメンテナを一人雇わねばならない
- 汚い格好の奴が「同じこともう思いついていたよ」と言ってくる
どちらかというと僕は「汚い格好の奴」側だったりしますが…。
プチプチに絵の具詰めてドット絵: あえて水を差してみる
先日の「メディアアート15の条件」にも似たようなのがありましたが、 何か新しい試みに挑戦している人を見かけたら、 「懐しいのぅ、30年前に同じものをワシも見たのぅ…」 とかそういったガッカリな発言をするのは年寄の使命であります。 もちろん、言われた方はそんな老いぼれ発言を意に介さずにどしどし新しいことに挑戦するのが使命です。 という訳で、デイリーポータルZの「プチプチに絵の具詰めてドット絵を描く」 につきましては、
「それは2年も前にすでに自動化されておってのぅ…」
なんて事を言ってみたりなんかして。
とはいえ、手作業でこれをやるってのは逆に考えもしなかったなぁ。 見本の上にシートを重ねるってのも面白い。実際に一プチ一プチ充填していった根気も、 おなじプチプチ系アーティスト(笑)として、おおいに見習いたい。