2008年12月の小ネタ
ICAT2008/ACE2008
この一週間、ICAT および ACE という学会の運営委員として、慶應義塾大学日吉キャンパスに毎日出勤しております。 正確には ICAT の運営委員ではないのだけど成りゆきで ICAT の仕事まで引き受けてしまいました。しかも隙を見付けては楽屋に引っ込んで、 別の学会の仕事を進めていたりするという、学会漬けな毎日。 ちなみに来週も SIGGRPAH Asia に参加です。
ちなみに学会運営の仕事は、よほど儲かっている学会ならいざ知らず、 基本的に無給です。
SIGGRAPH Asia 2008
12月の10〜13日は、SIGGRAPH Asia 2008 で、Emerging Technologies の展示のため、シンガポールに出張でした。 展示が終わってみれば、評判も良かったし、どこで何を食べても安くてうまかったこともあり、 とても満足の日々でした。
例によって他にもいろんな仕事を抱えながらの海外出張だったので、 ギリギリまでそうした仕事を片付けていたら、 寝坊して予定していた成田エクスプレスに乗れなかった。 幸い、次の電車でも間に合ったので良かったけど、肝を冷した。 ちなみに先日オランダ出張でも、小田急線の遅れのせいでタッチの差で成田エクスプレスを逃がしたのだけど、 数分の差で逃がした場合には、すぐに中央線に乗って東京駅まで行くと、 成田エクスプレスを追い越すことができるという技がある。 今回はそれも使えないくらい遅れた訳ですが。
今回の演し物は PAC-PAC という、電気通信大学小池研究室の学生さん達の研究。 ずっと指導していたいきがかり上、展示の面倒をほぼずっと観る事に。
PAC-PAC についての詳細はおいおいアップデートしていく予定。 ひとまずリンク先のビデオでなんとなく理解してください。 これ、体験してみないとその面白さが若干伝わりにくいので、 国内でも展示のチャンスをうかがっています。ご興味があれば是非ご一報を。
ところで、SIGGRAPH Asia とは今年、アジア向けに新しく始まった SIGGRAPH の言わば分科会みたいなものなのだが、来年は横浜で開催予定。 国内の研究者にとってはそれなりに気になるところではあるだろう。 果してこの会議で発表・出品することがどれくらい意義のあることなのか、 まだ何とも判断しにくいところはあるのだが、会議の規模や参加人数について言えば、 当然本家 SIGGRAPH に比べれば小さなものなので、 できることであれば本家にやはり出した方がよい。 では本家で落ちたものを SIGGRPAH Asia に出したいかと問われれば、 やっぱり他の国際会議に出した方が得だろうとは思う。
とはいえ、やはり SIGGRAPH という名前がもたらす箔たるや凄いもので、 会場の雰囲気も、第一回のイベントとは思えないくらい活気に溢れていた。 これからこの会議がアジア地域をまたいだ、大きな魅力を持つ会議になるかもしれない。 これからのアジア地域の発展をどう予測するかで、戦略も変わるだろう。
シンガポールの飯はうまい
それはそれとして、やはり日本人として、アジアとの親和性を感じるのは、 シンガポールの飯のうまさ! いやぁ、もう何を食ってもうまい。 そこらの屋台で 100円くらいで食べられる菓子のうまいこと。 実にコストパフォーマンスに優れているのだ。そこら辺の店にフラリと入って、 安くてうまくてバリエーションに富んだ飯が食える国ってのは、 日本とイタリアぐらいしか知らなかったけど、シンガポールは文句なくこのカテゴリに入ってくる。
なんといっても、中華・台湾・タイ・ベトナム・マレーシア・日本・インドネシア・インド・その他諸々近隣の様々な味が一堂に集まっているので、 飽きが来ない。元々タイやインドの料理が僕の性に合っているので、 幸せなことこの上ない。評判のチリクラブ・ペーパーチキン・チキンライス・肉骨茶などなど、 どれもおいしゅうございました。
そんな中で今回の最大の収穫は、"little india" という、街の中心部からちょっと北にいったところにあるインド街。
展示の仕事が終わった後はここをうろついていたのだけど、 いやもう、まさしく小インド。街中をスパイスの匂いが覆っています。 苦手な人は辛いかもしれないけど、今はなき自由が丘 MURA で日がな一日お香の煙に包まれて論文を書いてた(ことも一度くらいはある)僕にとっては、 むしろ懐しいくらい。
で、ここで1シンガポールドルで飲める「マサラミルク」が滅法うまかった訳ですよ。 マサラを使ったミルクティーすなわち「マサラチャイ」ならよく飲むけど、 紅茶を入れない、ミルクだけのものは今回が初めて。 ちなみにミルクはターメリックに染まってまっ黄色。どれくらい黄色いかというと、
これくらい。
これがあまりにもうまかったので、帰国してきてから再現を試みている。 まだ実験段階だけど、今のところのレシピだと、牛乳・ガラムマサラ・カレーパウダー・砂糖を適量混ぜるという感じ。 十分牛乳があったまったら、鍋とカップを往復させて、若干空気を含ませるように混ぜてやる。 この程度のいい加減なレシピでも、それなりにおいしい。これは今冬の定番飲み物になりそう。 なお、Little india で飲んだものはさらにココナッツの果肉のようなものが入っていたような記憶があるが、ちょっと定かでない。
慶應SFCの新ウェブサイトについて僕も一言
すでに「これはヒドい」と巷間噂になり、その悪評がすでに担当委員にも伝わったようでさっそく修正が入った慶應 SFC のウェブサイトですが、 僕からも一言。
修正が入る前のサイトってのは、今のトップページから辿れる「FLASH版」なんだけど、 いやこれが実に SFC らしい、バカな設計なんだ。
一応褒められるところもあって、例えばキャンパスまでの交通アクセス、 地図が PDF でも用意されているのはそこそこよい。
あと、FLASH 内でのページ遷移にあわせてブラウザの URL が書き変わっているというのも、あながちバカなだけでない、考えられている設計と言ってもいい。
でも褒めるのはここまで。で、なんでこれがバカなデザインかっていうと、 FLASH 使っててウザイとか重いとかアクセシビリティがどうとか、そういうのもあるけど、 根本的に駄目なのが、サイトの訪問者に何を伝えたいのか、何を伝えるべきなのかが、 まったく練られていないから。
僕も昨年まで大学にいたし、SFC のセンセイを見てきているのでなんとなく想像できるんだけど、 おそらくは「我が SFC には、独立性の高いエクセレントな人材が多く、 旧来的な学科とか専攻といった枠組みを超えた組織なのに、 ウェブページのデザインはそれを反映していない!」 みたいな事を言い出す人がいて、それじゃサイトリニューアルしてもっと現代的な技術でアピールしましょう、ってな事で話が進んだのだろう。
で、まぁあの動的なグラフレイアウトで、ハイパーネットワーク的な組織図を描いてみたところまではいい(たいがい古いと思うけど)。 アピールはそれなりにできたとしよう。でも、こんなちょこっとした FLASH のページでアピールできることって、人がいっぱいいて複雑なネットワークですね、 ってとこまでだよね。一度見ればもうOK。それ以上のものはない。 で、どこの研究室には誰がいてどこにあってどんなことやっているの? とさらにクリックしていくと、結局、普通の構成のページが出てくる。 で、それで十分わかりやすい。二度目のアクセスからは、最初からこれを出してくれよ、 となる訳だ。
かつて原美術館のサイトを批判した時にも思ったのだけど、 一度しかそのサイトへ来ない人へ伝えたいメッセージはあってもいい。 けど二度目以降の人にとって邪魔なだけのそれって、どれ程重要なメッセージなのか。 そんなに重要なメッセージなら、たかがトップページだけで伝えきろうなんてどだい無茶な話で、 サイト全体、あるいは大学の取り組み全体から伝えていくものなんじゃないのか。 SFC の場合なら、何も組織のネットワークをそのまま可視化したページを作らずとも、 それぞれの教員や研究室の成果や活動内容を見ていれば、 分野横断的に活動の幅を広く構えている人達が多いってことを、 自然に伝えることができる筈ではないか。 あるいは逆に、ひょっとしてそのメッセージって、何度もそのサイトや SFC 本体を訪れても気がつくことのない、 つまり実際にはありもしない、一部のセンセイがそうありたいと思っているだけの、 無い物ねだりのメッセージなんじゃないのか。
そうそう、原美術館のサイトについてはもう一度ちゃんと解析して批判したいと思っている。 あのサイトをデザインしたのは AXIS なんだけど、AXIS のサイトも、原美術館と同じような悪癖を持ったデザインである。