2006年8月の小ネタ
3日
海外から「ChameleonTV のアルゴリズムを教えてくれ」というメールが舞い込んできた。 ソース公開してるんだから自分で解読して欲しいとも思ったが、 処理速度を向上させるためにいろいろとインチキ処理をしているので理解しづらいかもしれない。 折角なので解説を書いてみた。ここにその日本語版を記す。
ChameleonTV では、消える/消えない判定は基本的に各ピクセルの輝度を見て判断している。 ちなみに RGB 各8bit から輝度 Y を計算するのに、次の簡略化された式を使っている。
Y = (R + G * 2 + B) / 4
さて、ChamelonTV は内部に
- 背景画像バッファ
- 輝度画像のリングバッファ
- 輝度合計値バッファ
の三つのバッファを持っている。背景画像バッファにはあらかじめカメラから取得した画像をそのまま保持しておく。 輝度画像のリングバッファは、カメラから一枚画像を取得する度にその輝度画像を格納しておく。 標準設定だと過去64フレーム分保持している。輝度合計値バッファは、 そのリングバッファ中にある輝度画像を加算合成した結果を格納する。
それでは実際の手順を解説しよう。まず、カメラから画像を一枚取得すると、 各ピクセルにおいてその輝度値を計算する。次に合計値バッファから、 リングバッファ中の最も古い画像を引き、次に最新の輝度画像を加える。 同時にリングバッファも更新する。これにより合計値バッファの内容が正しく保たれる。 最後に、合計値バッファを用いて各ピクセル毎での過去64フレームの輝度の平均値を算出し、 最新画像の輝度値との差の絶対値を算出する。 この値を混合比率として、背景画像と最新画像とを合成することで、 輝度値に変化のないところでは徐々に背景画像にすり変わる映像ができあがる。
擬似コードで書くと、
for(i=0; i<pixels; i++) { sum[i] = sum[i] - Yof(timebuffer[lastframe][i]); sum[i] = sum[i] + Yof(newframe[i]); timebuffer[lastframe][i] = Yof(newframe[i]); ratio = abs(Yof(newframe[i]) - sum[i] / frames); output[i] = blend(newframe[i], background[i], ratio / 255) }
といった感じ。解説してみると元も子もないというか、えらく簡単なコードだなこりゃ。
4日
DJ 関連の資料をいくつか買い集めている。曲をつないでいく DJ と、 ターンテーブルをこすって音を出すスクラッチ DJ の両方とも気になっている。 といっても自分でスクラッチしたり DJ をしっかりとやる気は毛頭なくて、 DJ 達が何を考えてどんなツールを使ってプレイしているのかをリサーチしたいと思っている。
まずは「DJ選曲術: 何を考えながらDJは曲を選び、そしてつないでいるのか?」 (amazon)。 これはクラブなどでレコードをとっかえひっかえしながら曲をつないでいく上で重要な、 選曲について記された本。曲を繋いでいく上での選曲の戦略について、 曲ジャンル・男声/女声・楽器編成などの構成要素を表にして、 どの要素が継続され、どの要素が新しくなるのかを、著名なミックス CD を題材にしながら解説している。 といっても、著者の主張としては「全体の構成を考えて選曲せよ」「テーマを持て」に集約され、 それ以外のことはほとんど述べられていない。しかし、表を使ったミックスリストの解説は参考になる。 ちなみに繋ぎの技術についてはまったく述べられていない。あくまでも「選曲」に絞って記されている。
次に、スクラッチの教則ビデオとしては最も有名な 「DJ QBERT'S COMPLETE DO-IT YOURSELF Vol.1 Skratching」 (amazon)。 QBert がスクラッチテクニックから機材のセットアップについてまで教える DVD。 個々のスクラッチの動きについて、4方向のカメラアングルを選んでそれぞれの手の動きを追える、 という仕掛が面白いが、ど素人の僕にはどのアングルを選んだところでさっぱりわからん。 最後 QBert と擬似バトルができるトラックがあるのだけど、QBert がいろんな格好をして出てくるのが笑える。
最後は、スクラッチの歴史を追ったドキュメンタリー映画「SCRATCH」 (amazon)。 Grand Mixer DXT や AFRICA BANBAATAA や Grand Master Theodore ら、 ヒップホップムーブメントやスクラッチ黎明期を支えた先達や、 QBert や Mix Master Mike ら中興の祖達のインタビュー映像で構成されている。 最後に、DXT が QBert に "Grand Mixer" の称号を譲るシーンがあったりして、記録映像としても面白い。 スクラッチを題材としながらも、ネタ探しにかける DJ の生態にも迫っていて面白い。
7日
電気通信大学の講堂を借りて、映像投影の実験。クラブにおける新しい視覚刺激について、 いろいろと試してみた。まだまだ初めたばっかりなので今後の方向性もはっきり定まってはいないが、 一つだけはっきりわかったのは、「プロジェクターの四角い画面はもういらない」。 今夏にもう何度か実験するつもり。
10日
西澤丞が地下トンネルや工場や研究施設などの様々な現場で撮影した写真集 「DEEP INSIDE」(amazon) が届いた。ちょっと期待していたのだけど、まず本のつくりがいまいち。 紙質は悪いし、印刷品質も低い。手に持った感じがいかにも安っぽくてげんなり。 で、肝心の写真の方は確かに面白いんだけど、部分的には馴染みのある風景だったりして、 新鮮味という観点ではいまひとつ訴求力が足りない感じ。 この種の無機質な造形は今の仕事をしていると割とよく見かけるし、 論文誌やら何やらでも目にするので、思った程ワクワクしないのだった。
ちょっと気になったのは、被写体がどれも「大きなもの」であるところ。 普通の研究室に入るくらいの小さなものでも、目がクラクラするような造形って結構あるので、 次はその種のものを収めてくれないかな。レーザー系とか、凄いですよ。
16日
EffecTV が ARM プロセッサ上で動いたという報告がトルコから届いた。 組み込み用の ARM ボードを作っていて、その上で動くデモプログラムとして EffecTV に目をつけたそうだ。面白いなぁ。というかそのボードちょうだい!
18日
ここ一ヶ月程の間、何度かメールが行方不明になるという現象が起きていた。 普段、一通り用事の済んだメールで特に分類する必要のないものはすべてゴミ箱に入れ、 ある程度たまったらそれらをまとめて別フォルダに移動させる、という整理の仕方をしている。 今年であれば「Trash2006」というフォルダに入れるのだが、その Trash2006 にあるべきメールが見付からない、 ということが度々あったのだ。
ところが今日、ゴミ箱にたまった90通ほどのメールを Trash2006 に移動させた後、 Trash2006 の中身を見てみたら20通程度しか増えていない。つまり70通近くのメールが消えていたのだ。 mew が残している Refilelog を見る限りではちゃんと移動されている筈なのだが、 まったく残っていない。ゴミ箱にも残っていない。IMAP サーバーのせいだろうか? それもと mew が悪いのか? これが他のデータに影響を及ぼさないようなプログラムであれば頑張って原因を突き止めようという気にもなるのだが、 自分のメールが対象となると気軽に再現実験をする訳にもいかず、 以前から mew には不満を抱いていたこともあり、ここはすっぱりと mew を捨てる方向で解決を図ってみた。
スケジュール管理には Evolution を使っているので、そのメール機能を使ってもよかったのだけど、 キーボードからの操作に不満が残るので、ここはやはり Sylpheed だろう。 いやぁ、これは快適。mew で IMAP を使っていると日付け順のソートができないという、 メールソフトとしては致命的な欠陥があったのだが、Sylpheed なら当然のようにできる(というか大抵のメールソフトは普通できる)。 やれやれ、もっと早く移行すればよかったなぁ。
mew を捨てたお陰で、emacs を常時開きっぱなしにする必要もなくなった。 がしかし、これで常時開いているアプリケーションは gnome-terminal・gvim・Firefox・Evolution・Sylpheed と、 だいぶメモリ使用量がかさんでしまうこととなった。これで僕も晴れて newtype の仲間入りだ。
25日
買ったまま積んどいた DVD を消化中。
- 空飛ぶ雲の上団五郎一座「アチャラカ再誕生」 (amazon)
- これ、当時チケット即売り切れで悔しい思いをしたのでした。 DVD で出ているのを知らなくて慌てて買い求めた割にはしばらく放置していた訳ですが。 いやー、やっぱ面白いわ。現代軽演劇の新基準ですねこれは。 コントの中では「現代詩人、かっぽれを考える」がいい。キャラクター立ちまくり! くりぃむしちゅーの二人は芝居が結構うまい。
- 伊東四朗一座 旗揚げ解散公演「喜劇 熱海迷宮事件」 (amazon)
- こちらも即完売公演。伊東四朗・三宅裕司・小宮孝泰らに囲まれた中でなかなかどうして東貴博が頑張っている。 てなもんやとか、この手の軽演劇はいいなぁやっぱり。 しかし一番心に残ったというか、ためになったギャグは、 リフォームを勧めるセールス電話に対して「はい、(情報)ありがとうございます」と返すというもの(わかりにくいけど、DVD を観てね)。 次から大学にセールス電話がかかってきたらこの手を使ってみよう。
30日
「人生で素敵なものは、非合法か不道徳か食べると太る」という言葉を常々いい言葉だなぁと思っていたのだが、 出典はどこだろうと思ってちょっと調べてみたところ、 Alexander Woollcott の言葉として、
All the things I really like to do are either immoral, illegal or fattening.
というものが見つかった。さらに適当に検索してみたら、バリエーションとして
Anything good in life is either illegal, immoral, or fattening. Anything not fitting into these categories causes cancer in rats.
(それらに属さないものは、マウスに与えると癌になる。)
というものもあった。
31日
以前に紹介した Perplex City というゲームで話題になっている、 日本人とおぼしき人物がいる。
先日発売になった Wave 4 に含まれているカードの一つに、 一枚のスナップ写真に「私を見つけなさい」と書かれた問題があり(#256)、 これが一体誰なのか、Perplex City のプレイヤーの間で騒がれているのだ。
これがその問題のカード
これまでに、後に写っているのはフランス Kaysersberg らしいということと、 Satoshi という名前であるらしいということくらい。
この人を特定するために、あちこちの掲示板に投稿している人がいたり、 果てはこんなページまで起ち上げる人が出る始末。
もし心当りのある方は、私まで御一報を。