2009年12月の小ネタ

WISS2010 [id]

4日まで、WISS 2009 に参加していました。そこで見たもの体験したものについてはおいおい述べる機会があるとして、 来年 WISS 2010 の実行委員長を引き受けることとなりました。 初参加は確か1998年だから、あれから12年目。その間、「OUISS」だの「なんでも2.0」だの、おふざけのサイドイベントは色々と手がけてきましたが、 とうとう本体イベントの大役を仰せ付かることに。 WISS 2010 プログラム委員長の後藤さんが示したビジョンに忠実な実装に務めますので、 よろしくお願いいたします。

2009.12.8

第一回ウェブ学会シンポジウム [id]

先日東大で開催された、第一回ウェブ学会シンポジウムに参加してきた。 そもそも何で参加しようという気になったか、今となっては動機が思い出せないのだけど、江渡さんや豊田さんの tweet を見て衝動的にポチッたんだったような。

シンポジウムはまぁ面白かったです。ご無沙汰の人に挨拶できたし、懇親会の後の飲み会も楽しかった。 学術分野の方の発表はだいたい聞いたことがあるものが多かったので再確認のようなものだったけど、 Google の工藤さんの発表は、Google の人が発表しているということ自体が面白かった。

しかしまぁ、第一回っていうのはやっぱり面白いんだよね。特にウェブ学会の場合、 いろんな分野の人がそれぞれ別分野でやっていたことを持ち寄って発表しているので、 いわば「集大成」。面白いに決まっている。問題は、第二回だよね。

エンタテインメントコンピューティングの第一回も、 大勢の参加者を集め、企業からの発表も盛り沢山で、それはそれは盛大だったけど、第二回でいきなり縮小してしまった。 あれも第一回の時は、エンタテインメントに関連した各領域における研究成果の集大成として、 CGやインタフェースやネットワークやらの発表が一堂に会してそれまでの蓄積を発表しあっていたのだったのだけど、 第二回以降はそこからの差分発表となっていかざるをえず、どうしても勢いに欠けてしまうのだ。OUISS も似たような理由により、二回目で苦戦した。

参加者増により勢いを殺さない事を目的とするならば、他の分野の人を呼びこむことを狙うという手法もあるけど、 それをやるとどんどん濃さが薄まったり方向性がわからなくなっていくし、 もう手を伸ばす領域が無くなったところで破綻する。 やはり中心となる研究発表がどんどん新しくて面白いことをしなければいけない訳で、 つまりはい頑張ります、ということです。

2009.12.10

Lyq: Leak Your Query [id]

ウェブ学会の聴講中の tweet で、こんな事を書いた。

検索クエリは実は最小のマイクロブログなのではないか。とするとやはりそれを握りこんでいる Google やっぱり強ぇし、それが表に出てくるような方法を考えてみたい。(4:26 PM Dec 7th)

Twitter のようなマイクロブログの登場により、人々が自分の興味関心を書き込む上でのハードルを下げ、 さらに即時性が強化されてきたと言われているけど、 実はそれは、すでに検索エンジンでの検索行為という形でとっくの昔に行われているのではないか、というのがその意味。 思いついた時にさっと素早く検索することで、僕らは実はその時その時の興味関心をネットワークに投入している。

だが、そのデータは人目にさらされることがない。さらされないが、膨大な量のそうした「つぶやき」を、僕らは検索エンジンに渡している。そしてその事を普段はまったく自覚していない。

ではそれをあえて人目にさらしたらどうなるか? という疑問を、素直に実装してみた。 つまり検索エンジンで何かを検索すると、その時の検索ワードをそのまま Twitter につぶやく、というものである。 もう運用を始めていて、@kentaro_search を見れば僕が何を検索したかがわかるようになっている。 プロジェクト名は "Lyq" で、「リーク」と読む。"Leak Your Query" の略だ。

正直、これは本当にヒヤヒヤものの実験で、僕がその時間に何をしているか、ほとんどまるわかりに近い。 論文を検索すれば何の研究をしているかが、Google Maps で検索すればどこに行こうとしているかが、YouTube やニコニコ動画で検索すれば何の動画を観ているかが、 たちどころにバレてしまう。プライバシーも何もあったものではなく、これが原因で首が飛んだり私生活に重大な問題を引き起こしかねない。セキュリティ上の危険もつきまとう。

それでもあえて実験を進めているのは、やっぱりこれが面白いと思うからだ。「意識とは何か」という問題にも深く関わっている。まだはっきりとした手応えはないけど、僕のこの日記や tweet での発言の裏側でどんな思索があったのかが、外からわかるようになると、そこに何か面白い発見が出てきたりしないかと思っている。 実際、自分で見返してみても面白い。最終的に成果につながった検索よりも、つながらなかった検索の方に、興味がある。

そしてもう一つ、このプロジェクトの目的は、自分が何を検索エンジンに渡しているか、 を確認することだ。誰にもわかりっこないと思って普段はどんな事でも気軽に検索するから、つい「検索」というものは私的な行為のように思う。 でも検索エンジンは決して自分専用のものではない。検索することで、僕らは他所に自分の興味関心をリアルタイムでさらけ出している。そのギャップに何が潜むのか? これを追求してみたい。

2009.12.10

Lyq の実装: Chrome 拡張の作り方 [id]

ちなみに Lyq は Google Chrome の拡張として作っている。 Chrome の拡張は Greasemonkey みたいに、アクセスしたページに Javascript を注入できるので、 Google や YouTube やニコニコ動画にアクセスして検索すると、そのデータを抜き出して tweet するというような芸当ができる。

それにしても、Javascript でまともにプログラムを書くのも初めてだし、 Web ブラウザの拡張なんて書くのも初めて。Twitter アプリもほとんど経験がない。 ここまで流行りものに手を出しまくった (命名: 「バズい」) プログラミングは人生初。

2009.12.10