2007年7月の小ネタ
東京おもちゃショーレポート
先日開催された「東京おもちゃショー」に行ってきたので、そのレポート。
まず、「いったいいくつあれば気が済むのかエアギターは」部門。
こちらはすでに報道のあった、タカラトミーの「エアギター」。 TV 局の取材も入ってかなりエキサイトした演奏が披露されていた。 ところで左の子は誰だっけ?
メガハウスの「エアミュージシャン (Ver. ギタリスト)」。 本体を手で持って振ると音が出る仕組。
ハピネットの「ロックタマシイ」。脈絡はよくわからないが、ガチャピン・ムックも参戦らしい。
さて、こんな感じで各社が電子玩具としてエアギター商品を出してきた中で、 もっともエアな空気(?)を醸し出していたのは…
これです!! ただの風船です! 中身空気だけ! 音もなし! センサもなし! ご丁寧にフライングVモデルまで用意して…。 というかそのギターバッグやスタンドは必要なのか?
まぁ、どれか買えと言われたら迷わずコレを選びますね。
さて続いては、「いったい(略)東京タワーは」部門。
これだけ東京タワーがあって、ゴジラもモスラもいないのは、いささかおかしいと言わざるをえません。
ネットで大反響だったもの達。まずは「∞プチプチ」。
残念ながら展示品は触らせてもらえなかった。配っていた販売業者向けチラシには 「Yahoo!, Mixiトップニュースに登場!!公式HPが1日で30万アクセス突破!!!」 とある。その次に「ブログ書き込み数急上昇ランキングTOPに!」 とあって、最後に「めざましどようび、ズームインSUPERで紹介!」と書かれている。 テレビで紹介されたことよりもネットで反響を呼んだことの方が、 宣伝文句になる時代なんだなぁ。
そして、やはりネットでの反響を強調していたのが「HANDY MAGI SYSTEM」。
ボタンを押したときの反応はこんな感じです。
宣伝のパネルによると「6月28日16時現在: Mixi アクセスランキング第1位獲得/Mixi 日記ランキング第1位獲得」だそうで。
その他、会場でみかけた面白もの。
何故その発想…?
撃ち損ねると転ばされるのだろうか? ぜひその「血も涙もない転ばせぶり」を見たいのだが。
おもちゃのインタフェース(続東京おもちゃショーレポート)
引き続き「東京おもちゃショー」から、インタフェース研究の観点から面白く感じたものを紹介する。
まずはタカラトミーの「ポケモンバトリオ」。
一人または二人でのポケモンバトルのゲームで、 各プレイヤーはポケモンを3体まで呼び出して戦うことができるもの。 100円を入れると、まずプラスチックでできた円板状の「パック」が払い出される。 このパックにはポケモンキャラクターが印刷されており、 それを使ってポケモンを呼び出す。 そして、呼び出したポケモンの操作もこのパックを使って行うという仕掛になっている。
ゲーム開始時にはまずポケモンのパックを、 操作パネルの中央下部にあるスキャナの上に置く。すると、 画面上に対応するポケモンが現われる。その状態でパックをすべらせて、 自分のフィールドに置くと、フィールドにポケモンが移動する。 これを3回繰り返して、フィールドに3個のパックを置くと、ゲームが始まる。
ゲームはターン制で、攻撃と防御を交互に行う。攻撃・防御それぞれの番で、 3個のパックの配置を変化させ、フォーメーションを組むことができる。 といっても自由なフォーメーションがある訳ではなく、攻撃3種類・防御3種類の計6種類のフォーメーションがあるのみ。 それぞれのプレイヤーがフォーメーションを決定したのち、 主体的に動くポケモンをボタンで決定し、それぞれのポケモンが攻撃・防御を行ってダメージが決定する。
ポイントはやはりパックを使ったフォーメーションの決定にあるだろう。 パックの位置認識は若干レイテンシが長めであることを除けば、 比較的精度は高かった。もっとも、フォーメーション3種類×ポケモンの配置6種類の、 計18種類の自由度しかないのではあるが。
カードを使ったこの手の多点入力インタフェースとしては、 「WORLD CLUB Champion Football」や 「三国志大戦」、 「ガンダム0083カードビルダー」 ですでに採用されているが、さらに質感のあるパックを採用してくるあたり、 なかなかいい進化をしている。というかまぁ、僕の研究範囲にもろかぶりな訳ですが。
つづいてバンダイの「デュエルポッド」。
モンスターを捕獲してバトルする、という基本的な枠組はポケモンやデジモンの類と同様。 しかしデュエルポッドの特徴は、そのモンスターの捕獲方法にある。 まわりにある様々な物体にデュエルポッドを近付けてスキャンすることで、 そこに隠れているモンスターを捕獲するのだ。 技術的には、本体に埋め込まれた色センサが色を読み取り、それに対応するモンスターを提示する、という仕掛になっている。 例えば茶色のものであれば、茶色に対応したモンスターが現われる、という訳だ。 雰囲気としてはバーコードバトラーに近いが、バーコードバトラーは、 バーコードの種類だけキャラクターの種類があったが、 デュエルポッドの場合は、あらかじめ用意された151種類のモンスターのみ、 となっている。
それだけだと、かなり単調な遊びになってしまうようにも思えるが、 そこはさすがに工夫されており、ある順番で色を認識しないと呼び出せないモンスターがいたり、 たとえば火曜日の夜じゃないと現われないモンスターがいる、といった仕掛が施されているそうだ。 他にもあらかじめ必要な色が印刷されているカードを販売するといった展開も考えているそうだが、 こちらの場合、カラーコピーしたカードでも使えてしまうそうだ。
それにしても子供向けの玩具で、ここまでネットを積極的に利用するものも出てきたということが興味深い。 7月からはネットでのオンラインゲームが稼働開始だそうだが、 本体発売よりも先にそうしたインフラを公開するという手段も珍しいのではないか。
R2-D2 がやってきた
R2-D2 を買いました。
例によって ThinkGeek で売っていたものを衝動買いしました。
赤外線を見ているのか、人を追いかけることもできるようです。 ところで音声入力で動くところは凄いといえば凄いのですが、 僕の発音では確実に反応してくれないところが涙を誘います。
前に買っていたヨーダと並べてみた。
コレジャナイ
先日カラオケ屋に誘われて遊びに行った折に、 アニメ・特撮ソングカタログをパラパラと見ていたら、こんなものを発見。
いつの間に歌まで…! それどころか立派な公式サイトまであるし、 プロモビデオも(ある意味)立派なものが作られていた。
余談ですが、ThinkGeek の人に以前、「コレジャナイロボを扱ってみない?」 とお薦めしたところ、即座に商談を持ち掛けにいったという事がありました。 何らかの事情でポシャったようですが。
それとはまったく関係なく、ついでにネタ写真の在庫処分。 調布駅前のビルに入っている中華レストランの垂れ幕なんですが、
円卓があるとなんかいい事があるんでしょうか。
坂口安吾「堕落論」再読
角川文庫の「堕落論」(amazon)を久しぶりに引っ張り出してきて読んでいる。 最初に読んだのは高校生の頃だったろうか、そのときは大して印象に残らず、 これといって影響されたとは思っていなかったのだが、今こうして読み返してみると共感する部分が多く、また物の考え方などに今の自分と似たところが多く、 となると実は多少なりとも影響されていたのかもしれない。
特に「日本文化私感」「堕落論」に見られるような、 なんとなく「善」とされている価値観に対してすっと疑義を差し挟む下りにおいては、 例えばエコロジーやら地域通貨やらにまつわる議論に対してほとんど反射的なまでに疑問を持ったりする今の僕の姿勢の、 あるいは要因ともなっているのかもしれない。「青春論」における、 宮本武蔵を題材とした話も面白い。若き日の武蔵の、 「殺さなければこっちが殺される」という実用本位の剣術に比べ、 晩年記した「五輪の書」に書かれるような悟りすました武道がいかにくだらぬ、 つまらないものであるかを、勝小吉(勝海舟の父)の「夢酔独言」まで引き合いに出して、 痛烈に書いているのだが、これなんぞも、「〜道」における様式とか精神修養のような世界とは無縁でありたいという自分の心に、強く響くのである。
一方で、第二次大戦直後の日本の文学界の、文学者側からの記述もあり、 その辺も楽しめる。志賀直哉が太宰治の「斜陽」における敬語の使い方をあげつらったことに対して、 「志賀直哉なる人物が、いかに文学者でないか、単なる文章家にすぎん、ということが、これによって明らかなのである」 なんてなことを書いていたりする。で、志賀直哉の攻撃に対する太宰治の反応にも触れていたりして、 当時の文壇の雰囲気が伺える。
20%ルール
読売新聞の報道によれば、日本物理学会で 「若手の研究者は、仕事時間の20%を自由に使って好きな研究を。」という提言をしているらしい。記事によると、
背景には、博士号を取得しても、希望する研究職につけない「博士余り」の問題がある。若手博士の視野と発想力を広げ、企業など幅広い分野で活躍させるのが狙いだ。
これまでの若手指導は、一つのテーマに集中することが良いとされる傾向があった。ただ、専門性の高さを「視野が狭い」「社会性がない」と企業側はみなし、博士の採用を敬遠。博士も企業と接点がなく、就職に積極的ではなかった。
とのこと。
まぁ主旨そのものは理解できるんだけど、情報系だといろんなテーマを物色するのはわりと普通だよなぁ、 と思う訳だ。知り合いの研究者も、「20%くらいは本来のテーマに専念した方がいい、なら、分かる」と言っている。 僕が大学院生の頃も、「一つのテーマばっかりやってると詰まっちゃうから、 いくつかテーマを抱えてかわりばんこに進めていくとよい」なんて指導を受けたものだ。 分野が違うから一概には言えないけど、研究者を目指すなら、 テーマは複数抱えて転がすことを覚えた方がいい。 何か野望があってのことならともかく。
というか、一つのテーマに専念するのは、むしろ憧れです。
FAAD2 2.5 と FFmpeg
FAAD2 のバージョン2.5をインストールした状態で FFmpeg を FAAD を有効にしてコンパイルすると、AAC をデコードしようとした場合に実行時に
[mpeg4aac @ 0xb7d16108]FAAD library: cannot resolve faacDecGetErrorMessage in libfaad.so.0!
というエラーメッセージを出力し、失敗する。これは FAAD2 が 2.1 から 2.5 にバージョンを上げた際に関数名を変更しており、FFmpeg がそれに追随できていないためである。 FAAD2 側では neaacdec.h でその違いを吸収しようとしているのだが、 FFmpeg 側でちょっと特殊な形で FAAD2 の関数を呼び出そうとしているので、 うまくいかないのだ。これを回避するには、以下のようなパッチを libavcodec/libfaad.c に当てればよい。
--- libfaad.c (revision 9723) +++ libfaad.c (working copy) @@ -218,11 +218,11 @@ return -1; } #define dfaac(a, b) \ - do { static const char* n = "faacDec" #a; \ + do { static const char* n = "NeAACDec" #a; \ if ((s->faacDec ## a = b dlsym( s->handle, n )) == NULL) { err = n; break; } } while(0) for(;;) { #else /* !CONFIG_LIBFAADBIN */ -#define dfaac(a, b) s->faacDec ## a = faacDec ## a +#define dfaac(a, b) s->faacDec ## a = NeAACDec ## a #endif /* CONFIG_LIBFAADBIN */ // resolve all needed function calls
ちなみに FAAD2-2.1 では結果が少々変なので、 2.5 への更新をお勧めする。なお、FAAD2 のコンパイルそれ自体も相当苦労するが、 CVS で最新版をとってくるとかなり改善されている。
四次元シューティング“Adanaxis”
Adanaxis という、変なシューティングゲームを見つけた。説明文によると 「四次元シューティングゲーム」という触れ込みだ。ここでいう四次元とは、 三次元空間に時間軸を加えたものではなく、正真正銘の四次元空間だという。 ゲームにはチュートリアルステージも用意されているのだけど、 一通りやっても第四の軸まわりの回転の挙動がさっぱり理解できない。 いちおう、四次元を理解するための教材として "Tesseract Trainer" というソフトが同じサイトで公開されているけれど、 いくら超立方体を回してもやっぱり四次元空間の挙動を頭で理解するのは難しい。 このゲームの作者は四次元空間をどこまで把握しているのだろうか。
理屈で考えれば、四次元の挙動は頭の中で想像することは、 まったく無理なようにも思えるけど、かといって絶対に不可能であると断定することもできない。 実際、「四次元を頭の中では想像できる」と主張した人々もいるらしい。 がしかし、頭の中で考えていることを外に取り出すことができない以上、 その主張が本当かどうかを検証することさえ困難だ。
ところで、四次元空間の挙動を理解できているかどうか以前に、 「四次元とは何か」についても、多くの人がまったく理解できていないようだ。 例えば「はてな」の質問サイトに 「四次元とか五次元とかを分かりやすく説明してください」 というのがあるのだけど、これの回答を眺めてみると、 まぁデタラメな回答のオンパレード。デタラメは言い過ぎかもしれないけど、 ほとんどが、聞きかじった知識だけで閉じちゃっている。 例えば最初に「三次元空間 + 時間軸」という定義に出会った人は、以降「四次元 = 三次元 + 時間軸」でしかないと思っているようだ。 まぁ、この種の質問サイトに寄せられる回答は、 大抵が素人の耳学問の域を出ないものがほとんどなので、 仕方ないと言えば仕方ない。それでも、これだけ回答を寄せ集めて概観すると、 おおまかには理解できるところが、面白いと言えば面白い。
元祖?多点入力
修士課程でやった研究のデモビデオに、音楽と字幕をつけたものを今更ながら作ってみた。
今や iPhone で大きく注目され始めている多点入力、 ちゃんと継続していればあるいは…。と後悔してもしょうがない。 映像公開がせめてもの供養だ。
下北沢時代の坂口安吾
最近は坂口安吾の他の作品を少しづつ読んでいる。 「不連続殺人事件」(amazon)や「勝海舟捕物帖」(amazon) は、推理小説(探偵小説)としての面白さもさることながら、登場人物の口調がどれもこれも小気味よいべらんめぇ、 特に後者に出てくる勝海舟などは、作中いつも推理を外しながらも、 その外れた言い訳やら取り繕いやらをべらんめぇでやるものだから、 勝海舟が腕組みして顔をひん曲げている様子が目に浮かぶようだ。
ところで、「坂口安吾 (ちくま日本文学全集) 」(amazon) に収められている「風と光と二十の私と」を読んでいてオヤッと思ったのだが、 坂口安吾が十九歳の時に代用教員を務めた下北沢の分校というのは、 どうやら私が卒業した小学校の前身らしい。「学校の前にアワシマサマというお灸だかの有名な寺があり」というのは、おそらく森巌寺のことであろう。 「その頃は荏原郡と云い、まったくの武蔵野で、(略)そのころは竹薮だらけであった」 という大正14年頃の風景は、今からは想像がつかない。
Chocolate Rain
YouTube で大人気になっている、 "Chocolate Rain" という曲がある。Tay Zonday という大学院生が自分で作詞作曲して歌も吹き込んだものなのだが、 25歳とは思えない渋い低い声 ("deep voice" と英語では呼ぶらしい) が特徴。
歌の内容はかなり暗いもので、それがいかにも若い表現なので、 YouTube ユーザーからのからかいの対象になっている部分もあるのだが、 彼の歌声とキャッチーなメロディ、繰り返される "chocolate rain" を聴いていると、耳に残る。
YouTube で人気を呼んだものの通例として、そのリミックスやアレンジのビデオも沢山作られている。いくつかいいのを紹介すると、
- chocolate rain by stromvixen
- アコースティックギターアレンジ。
- Chocolate Rain! REMIX(olol) by GoldenTotProductions
- ラップ調。何故か画面が DDR 風。
- Chocolate Rain 8Bit Remix by UuUuUuUuUuU
- チップチューンまである。しかもロックマン風の画面までわざわざ。途中からタイトル画面のままで映像は終わっちゃうんだけど、スタートボタンを押せよ! と言いたくなる。
ところで歌っている間は何度もマイクから顔を遠ざけているが、これは息を吸い込む音をマイクで拾わないため、と、わざわざ映像中で字幕を入れて説明している。よっぽど質問が来たのだろうか。