2008年1月の小ネタ
あけましておめでとうございます
遅ればせながらあけましておめでとうございます。
先月も一本しか書いておりませんが、先月末から今月頭にかけて、 CT やったり胃カメラ飲んだり大腸の内視鏡検査を受けたりで、 さらに委員会やら何やらでとにかく気ぜわしく過ごしておりました。 ちなみに健康面の方はお陰様でこれといった問題は見付かりませんでした。 一方仕事面の方は…何も言うまい。
今年はしょっぱなからシンポジウムが連続してあったり新しいイベントの企画を進めていたりと、 イベントの多い一年になりそうです。公開イベントの情報はこちらでも随時お知らせしていきますので、 よろしくお願い申し上げます。
大学入試センター試験
一昨日・昨日は大学入試センター試験でした。受験生の皆さん、 ひとまずはお疲れ様でした。
大学教員をやっていると何年かおきに、試験監督の仕事がまわってきます。 試験監督は大学入試センターの職員がやっているのではありません。 大学は会場を貸し、さらに人員も割いているのです (その分、センター試験の結果を利用させていただいてもいるのですが)。 この試験監督の仕事は思ったよりも大変で、朝から晩まで試験場で過ごさねばなりません。 受験生の方は試験を受けている訳ですから間がもつのですが、監督官の方は試験時間の大半はこれといった仕事がなく、 ひたすら室内を見渡しているしかないためこれが結構辛いのです。 そんなもんですから監督官の仕事が回ってくると憂鬱な気分になります。 特に最近のセンター試験では英語リスニングテストが実施されるようになりその試験実施手順が結構複雑なため、 その事前講習会にも参加しなければならないし、本番における責任も重大です。 何かしらの事故が起きた場合の対処手順もかなり複雑で、マニュアルに目を通すだけでも一苦労です。
それでも、実際に試験場に立って真剣な面持ちの受験生を目の前にすると、 こちらも気が引き締まってくるものです。彼等が持てる力を出しきれるよう、 様々な点に気を遣います。試験場は暑過ぎないか寒過ぎないか、 日差しが邪魔にならないか、雑音はないか。不測の事態が起きた際に、 受験生を不安にさせないよう、素早く確実な対応をしてあげる必要もあります。 もちろん、こちらのミスで受験生の心を乱さないよう、細心の注意も払います。
今日この会場でセンター試験を受験した人のうち一体どれだけの人が、 今度は本学を受験するのかはわかりませんが、この試験によって少しでも本学に好意を持ってくれる受験生が増えれば、 あるいは大学というもの全体に対するイメージを少しでも良いものにすることができれば、 これは我々にとっての利益にもなります。そう考えると、この試験監督の仕事というのは、 大学にとっても重要な仕事の一つと捉えることができます。 いわんや二次試験においては、その後四年間以上一緒に過ごす可能性を持つ受験生が相手ですから、 なおさら重要な仕事と言えるでしょう。一種のサービス業として、 真面目に取り組む価値はあると思います。
センター試験英語リスニングについて
さて、ニュースでも度々話題になっているが、 今年のセンター試験での英語リスニングにおける、ICプレーヤーの不具合報告は150件程度だったとか。 これについて毎度々々世間でいろんな反応があって興味深い。 mixi ではニュース記事に対して mixi 参加者からつけられたコメントを概観できるので、 mixi ニュースの該当記事を眺めていてなるほどと思ったり身勝手な意見があったりと、 いろいろと思うところがあったので、それらについて私見を述べてみたい。
- またこんなに不具合が出てるのか。多過ぎる。
報道によれば、今年の受験者のうち英語リスニングテストを受けたのは49万人。 うち148人が、ICプレーヤーの不具合が原因と見られる理由により再試験を受けている。 この数字から計算すると不具合が出た率は 0.03%。 なお、ICプレーヤーの障害については大学入試センターから資料が出ていて、 これによると昨年度の試験において、受験生からの申請により交換したICプレーヤー356台のうち、 実際に不具合が確認されたのは33件、47件は操作ミスによるもの、 そして「受験生が機器の不具合と受けとめたと考えられるもの」が275件だった。 仮にその主張を認めて、実際の機器の不具合は33件だったとするならば、 昨年度の割合をそのまま適用すると実際の故障率は 0.003% だった計算となる。
この数値がどういう意味を持つかは、より精密な議論をするのであれば製造業における品質管理の専門家に聞いてみなければなるまいが、 普通の電気製品の故障率から考えると驚異的な値である。 もっとも、英語リスニングテストにおいては試験直前に受験生本人による、 再生の確認がなされる。いってみれば受験生自らの手による全数検査を受けているので、 この数値が達成できているという側面もあるだろう。
ちなみに、時折「わざわざ新しいものを作るから不具合が出るのだ。 iPod でいいじゃないか」という意見が見られるのだが、 iPod の故障率は、Apple 広報が「5%に満たない」といったような発言をしているところから、 1% 付近には達しているものと思われる。調査によっては 2.8〜30% という情報もあり、 仮に 故障率 1% だとすれば、iPod を採用した場合全国で 4900件の不具合が生じる計算となる。 もちろん、iPod をそのまま使えば、操作ミスが今以上に出てくるのは間違いない。
- こんなに不具合続きで、大学入試センターは改善する気があるのか。
これも先述の資料に出ているが、毎回、不具合が出たとされるプレーヤーは回収され、 その原因の調査がなされ、その報告もちゃんとされている。 その結果、平成18年度において258件報告されたイヤホン端子の酸化に起因する不具合は対策が施され、 平成19年度においてはたった1件にまで減っている。全体としても不具合報告は最初の年から減少傾向だ。充分改善の成果が出ていると言っていいだろう。
- それでも、一件たりとも故障が出るのはまかりならん。受験生の立場にもなってみろ。
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食品における虫や金属片の混入といった問題でも割とこういう論調になりやすいけど、 故障率を 0% にするということがどれほど大変で、0% に近付けることがどれほどお金がかかることなのか、 まったく理解されていないんだなぁ。「全部検査しろ」なんていうコメントもあるけど、 全数検査がどれほどお金のかかることか分かってるのかな。 また全数検査しても必ず不具合というものは出るもので、 あるいは全数検査をすることで不具合を誘発することもある。 加えて、受験生の手を借りて全数検査のようなものがされているのは上に書いた通り。
むしろこうしたものでは、不具合が生じたときにどう対処するかの方がはるかに重要だ。 食品でいえば、命に関わったり健康的な生活に支障をきたすようなものでなければ、 単に交換すれば済む話な訳で、そのような軽微な問題においてまで完璧さを求めてしまうと、 その検査の工数が増える分価格が際限なく上昇していく。 逆に言えば、不具合が起きたときの対策さえしっかりしていれば、 ある程度は不具合が発生することを見込んで検査工程を常識的な範疇にとどめ、 コストの削減に勤めてもよいのだ。
英語リスニングテストでいえば、制度として再試験を受ける権利は保証されており、 目くじらを立てねばならない程の有利不利が生じるとは思えない。 むしろ、あまりにも世間が騒ぎ立てるとかえって受験生の不安を煽りたてるように思うのだが。
- プレーヤーを配るのではなくて、大型スピーカで放送すればいいのに。
どう考えてもそっちの方が受験生からの苦情が多くなるなぁ。 スピーカーの近くの受験生のくしゃみ一つで一部屋まるごと再試験ですよ。 それに、座席の位置による不公平の方に文句が出るだろう。
英検などのテストでこのやり方で文句が出ないのは、 ああいったテストは年に何度も受験できる資格試験だから、 ということを忘れては駄目ですよ。
- プレーヤーが 2000 円というのは高い。一社独占というのもよくない。もっと安くするために、毎年競争入札するべきだ。
まぁそれも一つの見識だけど、ある程度の経験を重ねないとここまでの故障率の低さは維持できないと思うなぁ。 もっと故障率が高くてもいいというのならアリだとは思うが。
- だいたいリスニングテストなんてする意味あるのか。
実のところまったく同意なんだけど、これ、世間の要求で始まったものですからね。 大学入試センターのページに掲載されている、各種団体からの評価なんかにも記されていますが、 もともと「学校で教えている英語は実際のコミュニケーションに役に立たない。 読み書きではなく会話力を重視した教育をすべきだ」という(僕はまったく同意しない)世論を反映し、 大学入試で英語リスニングを課すことにより、高校教育の教育課程に盛り込まれていながら現場では軽視されていたリスニング教育を徹底させる、 という狙いがあってのことなんですからね。
じゃぁこのリスニング教育は本当に英語コミュニケーションの育成に役立っているのか? という疑問は当然出てきますが、こればっかりは調査結果に当たらないとわかりません。 英語リスニングテストをくぐり抜けてきた最初の連中は今大学2年生。 彼等の英語力がどれ程のものか、大学教育の現場からの声を聞いてみたい。 ただ僕自身は、英会話の基礎能力があることと、英語でコミュニケーションできることとは、 まったく別次元の問題だと思っているので、これだけの問題を巻き起こしてまでリスニングテストをやる必要はやっぱりないんじゃないかとは思うのですが、 もし劇的な効果が調査結果に現われるのであれば、継続するのもアリだと思います。
他にも「そもそも受験英語なんて実際の役に立たないんだから、もっと実践に則したテストにしろ/英語のテストなんかやめてしまえ」なんて意見が目立ったが、 これは「英語(外国語)教育はどうあるべきか」という問題であり、 これについては別項で一席ぶってみたい。
センター試験:くだらない話
それはそれとして、以前にも似たようなことを書きましたが、 センター試験において、ルールの穴をつく極めつけにくだらない不正行為を思いつきました。 試験時間が終わると「解答やめ。鉛筆を置いて問題冊子を閉じてください。」 と試験監督から受験生に伝えられ、以降解答欄のマークを塗る機会は与えられません。 しかし、「鉛筆を手にしてはいけない」とは言われても、消しゴムを手にしてはいけないとは言われません。 なので、解答欄のすべてのマークをあらかじめ塗り潰しておけば、 試験終了後も消しゴムを使って塗りたいマーク以外の部分を消していけば、 解答は続けられるし、上の試験監督からの指示に対してはルール違反にならないのです。
もっとも、問題冊子は閉じなければいけないから正解を選ぶ術はないし、 マークを全部塗り潰す時間がもったいないし、そもそも端から見てあからさまに怪しいので、 「消しゴムを使ってはいけないって言わなかっただろ!」と主張したところで、 間違いなく不正行為扱いだとは思いますが。
BUG
ガジェット組み立てキット「BUG」の先行予約が米国時間で21日からということで、 夜中に起きてサイトを見張っていたところ、2時頃に予約受付開始のお知らせが。 即座に申し込みをしようとしたら、郵送先にアメリカ以外の国が選べない!! 問い合わせをしてみたら、しばらくの間は海外への郵送はできないとのことでした。 とほほ…。
qrencode-2.0.0, oscsend-1.0.0 リリース
QR コードのエンコードライブラリ libqrencode のバージョン 2.0.0 と、 OpenSound Control メッセージをコマンドラインでやりとりするツール oscsend のバージョン 1.0.0 を公開しました。
最近、最初に公開するバージョンを 1.0.0 にするようにしています。 EffecTV の頃はソフトウェアの品質にあまり自信が持てなかったので、 EffecTV なんていまだにバージョン 0.3.11 なんて事態になっていますが、 qrencode にしろ oscsend にしろ、手元でかなりテストして作り込んでいるので、 わかりやすいバージョン番号の方針を打ち出すことができています。
フリーソフトウェアへの取り組み
これまでのフリーソフトウェアへの取り組みをまとめてみました。
- 自分が中心に開発したもの
- EffecTV
- libqrencode
- oscsend
- quit 他くだらないショートショート
- SKK の skkdic-expr2 (現在は SKK Openlab でメンテナンスされています)
- パッチや日本語カタログ等の形で貢献したもの
- SDL_gfx
- gtkpod
- desiredata
- LiViDO
- TikiWiki (いまやまったく手をつけていない)
skkdic-expr2 は手元に開発時のソースなど残っていないので、 いつ作ったのかもわからなかったのですが、SKK-ML に残っていたメッセージによれば2002年9月10日でした。EffecTV の後に公開したのか…。なんとなく skkdic-expr2 の方が先のような気がしていた。