2009年11月の小ネタ

カードマジックを披露するべきではない相手 [id]

先日、酒の席にて、もう食事も終わりかというタイミングで一人がカードマジックを披露してくれた。 独学で勉強したという割には玄人はだしの腕前で、 本人も多少酔い加減であるにも関わらず上々の首尾だった。 がしかし、最後のマジックで「カードを一枚、私に見せないようにして引いて、 みなさんでそのカードを覚えてください」という奴をやったのだが、 その後「さて、引いたカードは何でしたか?」と聞かれて皆が答えたカードが、

「ハートの5」
「ハートの6」
「ハートの8」

と見事にバラバラだった。

酔っ払い相手にカードマジックをやるのはちょっと虚しいのかもしれない…。

2009.11.4

英辞郎のひどい項目 [id]

ちょっと腰が砕けそうな項目を発見。

■articulable {形} : articulate できる
■articulacy {名} : articulate なこと

これで辞書なのか本当に。

2009.11.4

TENORI-OFF その後 [id]

TENORI-ON のスタンダードモデルとして「TNR-O」が発表になりました。予想価格7万円前後という噂で、なかなかのコストダウンに成功したようです。が、まだまだ高いなぁ。

それはそれとして、TENORI-ON を作った岩井俊雄さんのTENORI-ON 開発日誌で、 ネットにある様々な TENORI-ON 演奏動画をつないだものが見られますが、その動画についての岩井さんのコメントに、

全世界のあちこちで、こんなに多彩に TENORI-ON が使われてきたかと思うと感慨深いです。(あいかわらずTENORI-OFFが笑えますね~)

あわわわ…。動画の中でも TENORI-OFF がチラリと写りますが、まさかこんな場所で取り上げられるとは。もう観念するしかないよ。

2009.11.14

マスコミの真の恐怖 [id]

中吊り広告によれば週刊文春の今週号の特集は「死体列島」ということでいくつかの殺人事件に関するもの何だけど、 「死体列島」じゃ、まるで日本中で死体がゴロゴロするくらい殺人事件が起きているみたいだ。もちろん殺人事件の件数がここ数年で急増したなんて事実はないし、今大騒ぎになっている事件は、事件自体は二年前に起きたものだ。

マスコミが過熱報道することで様々な誤謬を引き起こす現象は、他にも少年犯罪があたかも急増しているかのように世間で思われている (実際は長期減少傾向) といった例がある。どうも、週刊誌や新聞、ニュース番組はあまり他に取り上げるべき問題を見付けられないのか、この手の猟奇的犯罪に話題を集中させたがる。 同じように、政府がやっているあれやこれや、政治家のスキャンダルもワッとたかって煽る傾向が強い。

まぁこの辺の話はちょっと前からよく言われるし、「そういう国民性だ」なんていう話もあるんだけど、 それはそれとして、世の中から本当にニュースになるようなネタが少なくなっていったら、マスコミはどうやって生き残ればよいのだろうか。

ハンナ アレントの言葉に「秘密警察の真の恐怖は、その摘発対象の消滅から始まる」というのがあるらしいんだけど (いしいひさいちの漫画から孫引き)、 つまり、外国のスパイとか扇動者とか、体制が敵視する人物を次から次へとひっ捕えていくとやがて摘発すべき対象者が国からいなくなる。すると、秘密警察の存在意義が無くなってしまうんだけど摘発が調子よく行っている時に大抵組織が大きくなっているので、その保身を図るために、摘発の対象を拡げていくようになる。

で、組織として追い求めるべきものが世の中から枯渇していく中で、無理矢理追い求めるべきものを作り出そうとするおかしな行動に出ちゃうというパターンが、 実はマスコミの挙動にも表われているんじゃないだろうか。

2009.11.14

視るだけじゃない、ホエールウォッチング [id]

先日の UIST 出張の折、半日ほど暇があったのでホエールウォッチングに行ってました。

ここでは "Zodiac style" という、強襲艇のようなボートに乗ってのホエールウォッチングのコースを選ぶことができる。上の写真のボートで、波の荒い日には激しく揺れる上にズブ濡れになること間違いなしではあるが、それを覚悟で乗ってみた。

ボートに乗る前に、こんなスーツを着用。全身をしっかりと包むもので、着るとかなりあったかい。ちなみに右端は KMD の稲見先生。

この日は天気がよく、10月のカナダにしては暖かい日で、湾内はいたって静か。両岸は高そうなマンションが並んでいる。

湾外に出てもいたって海は穏かで、ボートは快走。小さな波を受けて上下にバタンバタンと揺れはするものの、波しぶきもそれ程立たず、実に爽快。ボートが海面を叩く振動も足に心地よく響く。

と、しばらく行くと「あれを見ろ!」という声が。その行く手には…。

潮吹きが! そして潮を吹き上げる音が聞こえてくる。そして…

海面に姿を現わす鯨。尾鰭が、ゆっくりと沈んでいく。

この日は他にも、ボートを併走するシャチや、岩礁で日なたぼっこしたり海を泳いでいくアザラシなど、盛り沢山の内容。ちなみにアザラシがたむろする岩礁では、フンの匂いが一帯に漂っていて、文字通り五感が刺激される体験だった。

360度どこを見回しても何かしら目に入るものがあり、匂いがあり、ボートがスピードを上げると風を切る音が聞こえてくる。波に揺られ続け、波をかぶり、日が沈むにつれ寒さが忍びよってきて、日差しの暖かかったことを知る。この圧倒的密度のリアリティ。五感だけではない、ありとあらゆる感覚で体感するエンタテインメント。この密度は、コンピュータでは再現できっこない。アザラシがいれば糞の匂いがするし、ちょっと波が立つと水鳥が慌てる。すべてが息づいていて、人間はそれを全身の感覚で捉えている。

それでは、コンピュータエンタテインメントは、いったい何を、どうやって提供するべきか? コンピュータが提供できる「リアリティ」とは? 色々といい宿題を見付けることができた。

2009.11.22