2007年6月の小ネタ

オランダ出張 [id]

先月は22日からオランダ出張でした。

23日はユトレヒトからさらに車で30分程行ったところにある Breukelen という街で、以前関わったインスタレーション作品の見学兼打ち合わせ。 5月の陽光眩しく、街並も綺麗で、昼からビール飲みながらの打ち合わせ。いやー、いい街だ。

帰りに時間が余ったのでユトレヒトの街を散策してみた。こちらも歴史を感じる街並で、大きな聖堂あり高い塔あり、河のほとりにはレストランが建ち並び、国境が近いせいかベルギービールも種類が豊富と、とても素敵な街。これでユーロがもっと安ければ…。が、街の外れ近くまで歩いていって、とんでもない店を二軒、発見してしまった。続きは次のネタで。

2007.6.3

ElfFantasy [id]

ユトレヒトで見つけたすごいお店、一軒目は、漫画屋の二軒となりにあった ElfFantasy というお店。

これがもう、実に気合いの入りまくったファンタジーショップなのだ。

フェアリーのみならず、ドラゴンやらノームやらの人形類が充実。

街娘から魔術師まで、様々な衣裳が揃っている。

当然、武器や防具の類も手に入る。武器の方はさすがに刃が入ってなかったけど。

そして極めつけはコレ。

フラスコ入りポーション! 絵に描いたような薬屋の風景! ちなみに中身は甘口ワインだそうで。

そしてさらにコレ。

安売りしてますが、魔法キットですよ! いろいろ書いてあるけど、要約すれば「恋のおまじない」であったりする訳だ。

お店の人にいろいろ聞いてみましたが、オランダでも“Live RPG” (2004年9月2日の小ネタ参照)イベントが開催されるようになってきたそうで、こうしたファンタジーショップの需要も高まりつつあるそうなのだ。実際、店に置いてあるチラシを見ると、CastleFestRidders van Rhoon といったその手のイベントが開催されるらしい。ElfFantasy でも、 ElfFantasy Fair というのを毎年開催しているそうだ。是非参加してみたいものです。

2007.6.3

リングワールド入手 [id]

さて、ユトレヒトで見つけたすごい店、二軒目は、 ElfFantasy から歩いて数分、川の反対側の岸にあった、sub CULTURES というお店。

どうしてこのお店を見つけたかっていうと、ElfFantasy を出てから街の中心部へ戻る途中、むこう岸で WARHAMMER とおぼしきフィギュアにスプレーペイントしている人を発見、たて続けだなぁと思って見ていたら、その背後に sub CULTURES という看板があって、倉庫を改装したような店があることに気がついたから。

こちらはまさにゲーム屋という感じ。濃いよユトレヒト! 例によって WARHAMMER (イギリス・ヨーロッパ圏では大人気な、フィギュアを利用するバトルゲーム) グッズが山程ある上に、各種ゲーム類が山程。中に、中古のゲームが詰め込まれた箱があったので、さっそくその中を漁ってみたら…

リングワールド RPG を発見!! 即買いですよ当然! カオジウム社の製作で、ゲームとしてはそれほど評価が高い訳ではないし、レア物というほどでもないけど、変なモノ好きとしてはたまらない逸品。箱も揃ってるのはちょっと珍しいし。

で、店主に「おもしろいもの売ってますねぇ」と声をかけてみたら、「SF 系 RPG に興味あるのかい? それなら…」と奥に引っ込んで持ってきたのが…

なんと「トラベラー」のシステムとサプリメントの山! なんでもコレクターが手放したのを一括で確保したものだそうで。他にも White Dwarf が創刊号からとか、この人かなりの人のようです。ちなみに「日本で欲しい人がいたら売ってもいいよ。海外発送もするよ」とおっしゃってますので、興味のある方はご一報を。

2007.6.3

EuroITV 2007 [id]

5月は24・25日と、アムステルダムで開催された EuroITV 2007 という会議に参加してきた。インタラクティブ TV に関する国際会議という、えらく対象を絞った国際会議がすでに5回目というのは驚きだが、それだけヨーロッパではインタラクティブTV・デジタルTV・IPTV の類が充実していることが伺えた。実際、北欧ではこの種のセットトップボックスが結構普及しているそうで、また DVB-MHP への対応やその拡張が議論の対象になっていたりで、結構本気で普及すると踏んでいるようだ。日本だとアクトビラなんかが、わりと綺麗に無視されていたりする訳だが、この先どうなるものか、興味深い分野なのかもしれない。
2007.6.3

時間軸をいじるビデオの撮影技法 [id]

以前紹介したおもしろビデオクリップの名手Keith Schofield が、One Block Radius の“Loud and Clear” のクリップで見せたような、時間軸をいじるタイプの撮影技法について、グラフを交えて解説しているのを発見。

“Loud and Clear” の映像はところどころ巻き戻ったり進んだりしながら、その後の動きがちゃんと音楽にあわせた進行になっている。これを概念的に説明するために、横軸に撮影時の経過時間、縦軸にそれに対応する曲の経過時間をとってグラフに表し、他の典型的な映像(スロー・倍速再生など)と比較している。

錯視図形を使っていたり、妙に 8-bit 指向だったり、確実にこの人はお友達ですなぁ。

2007.6.5

ニューヨークとロッテルダム [id]

ロッテルダムにある写真美術館の近くには、こんな建物がある。

左の大きな建物は、かつては大きな荷物を抱え、新天地を目指す船客でごったがえしていたそうだ。つまりここは船着場であった訳だ。その行き先は、新大陸、アメリカ。

この建物は、今のニューヨークとロッテルダムとを結ぶ客船会社の事務所だったもの。今ではホテルとなっているが、かつては切符やら書類やら荷物やらが飛び交う場所であったに違いない。 (Google マップ)

オランダとアメリカの関係とは? それを知るわかりやすい証拠は、ニューヨークの地名に見られる。ブルックリン、ハーレムといった地名はそれぞれ、 Breukelen や Haarlem といった、アムステルダム近郊の街の名前からきているのだ。そもそもニューヨーク自体が、かつての名を「ニューアムステルダム」と言ったのだ。

やがてニューアムステルダム一帯は他のオランダ植民地(“Nieuw-Nederland”)ともどもイギリスの手に渡り、そしてアメリカ独立後は新世界の玄関として機能するようになった。

余談ながら、この場所の近くには大きな跳ね橋がある。橋の上は路面電車も走るのだが、その線路も架線もぜんぶひっくるめて動かしている。しかも垂直を通り越して、こっちに倒れかかってくるかのようだ。写真右端に写っている、つっかい棒をしているビルもそうだけど、ここらの人は重力を何とも思っていないのか。

2007.6.5

DOMESTIC TENSION 最終日 [id]

先月頭に紹介したDomestic Tension というパフォーマンスが、日本時間で今日の朝8時に、終了した。

イラク生まれのアーティスト Wafaa Bilal は、シカゴの Flatfile ギャラリーの一室に一ヶ月間住み、その間、インターネット越しに誰もが操作できる銃から射出されるペイントボールにさらされ続けた。

Bilal は一ヶ月のパフォーマンスの間、チャットに応じ、ビデオブログを撮り、銃にペイントボールやガスを補充し、たまにペイントボールに撃たれた。

始めの頃は衝立を持って移動してペイントボールの攻撃を避ける作戦に出ていたが、銃が上下方向に向きを変えられないことをいいことに、いつしか姿勢を低くして移動するようになった。背の低い机にコンピュータを置き、カメラに写った状態でチャットに応じる姿も見られるようになっていた。

11日目には、部屋に置かれてたランプが集中砲火を浴び、壊れるという事態も発生。一方で、その様子をネット越しに見ていた人が新しいランプを届けに来たりといった出来事も起きた。その後観葉植物が持込まれたりもしたが、やはりそれもすぐにペイントボールの攻撃にさらされた。ペイントボール銃の威力は相当なもので、繰り返し撃ち込まれ続けたあげくに壁に穴が空くほどだ。

そんな中、ネットの方では “Virtual Human Shield” を名乗る人々が現れた。彼等は Bilal をペイントボールから守るため、銃の方向を Bilal からそらすべく、銃の操作ボタンを連打するという行為に出たのだ。彼等の活動によりペイントボールの脅威は軽減されたろうが、一方でカメラも一緒に Bilal からそらされるため、Bilal の様子を見ることができなくなった。そのため、パフォーマンスの目的を阻害するものであるという抗議も巻き起こり、チャットでは議論が紛糾することとなる。

最終日、終了まであと8時間程という頃になって MP3 ストリーミングが導入され、Bilal の肉声や室内の音がリアルタイムで聞けるようになった。僕はそれをずっと聞きながらチャットに参加していたのだが、リアルタイムに(といっても2分程の遅れがあったが)聴こえてくるペイントボール銃の発射音は、臨場感を否応なく増した。そんな中で、Bilal はチャットでの質問に対し、肉声で答えていた。

チャットでは、発言者の名前は表示されず、IP アドレスのみが表示されていたため、チャットの参加者はお互いを、IP アドレスの最後の桁で呼びあっていた。 IP アドレスが 192.168.1.10 なら「10」が呼名となる。(「10さん」「194さん」と呼びあっているあたり、まるで2ちゃんねるのようだった)

最終日のチャットは「77」が議論に火をつけた。床に座りこんでペイントボールに当たらないようにしているのはおかしい、それでイラクの状況を表現したことになるのか、と。すぐに様々な反論が起こり、そのうち77氏が「芸術なんて糞だ。普通の人にとってはこんなの意味がない」といった発言をしたため、「普通って何だ?!」と議論があさっての方向に流れたりした。その時の反論を眺めていると、どうやらチャット参加者には芸術系の学生が多いらしく、彼等は Bilal のパフォーマンスにかなり好意的なようだった。

77氏はやがて発言を止めてしまい議論は長くは続かなかったが、これについては僕は、ペイントボールが当たらない簡単な方法があったりするのは、実際のイラクの状況を考えると確かにぬるい部分はあるとは思う。それでも、ペイントボールを避けるために姿勢を低く保ったり衝立を動かしながら歩いたりと、日常生活に著しい支障をきたしているのは事実だし、そうでなくてもひっきりなしに銃の発射音を聞きながらのパフォーマンスは、やはりそれなりの厳しさを表現していると思う。

それに、実際にイラクで生活している人々も、本当に四六時中銃撃にさらされている訳ではなく、意外と現実的な生き残り術を発見して実践しているのではないだろうか。そうでなければ、「日常生活」を送ることなんてできないんじゃないか。もちろん、彼等はちょっとした油断、ちょっとした不運で、命を失っていくのであり、Bilal の状況と比ぶるべくもない程の恐怖があるけれど。現実をどう切り取って、どう解釈して、どう表現するかは、芸術家の選択次第だ。Bilal の採った手法がどれ程妥当なものかは、今後も議論されるだろう。

チャット中、Bilal が「ペイントボールを補充しにいく」といって、何度か席を外した。ペイントボールや、銃用のガスは、Bilal が自分で補充しているのだ。自分を撃つための銃の弾を自分で補充する、という構図は、かなりショックだった。 Bilal 自身、それについてどう思うかという僕の質問に対し、「自分で弾を補充するのは、とても不思議な気分だ」と答えている。

そうこうするうちに、パフォーマンス終了まであと10分を切った。例によってカメラの向きは Virtual Human Shield の活動のため、何もない壁の方を向いており、チャットの参加者からは「最後なんだから、Bilal の姿を見たい!」と、Virtual Human Shield にカメラの操作を止めるよう要望が出るものの、「何も悪くない人が撃たれるのは我慢できない」の一点張り。すぐに Virtual Human Shield を非難する書き込みが殺到し、カメラを Bilal の方に向けようとする連中と Virtual Human Shield との間でクリック合戦が始まった。そうこうするうちにも刻々と終了の時間は迫っていた。僕はというと、クリック合戦には参加しなかった。といっても、その間にボタンのクリックに相当するスクリプトを書き、Virtual Human Shield に対抗していたりした訳だが。

最後の一分というところまで来て、Bilal は画面から姿を消した。どうやらカメラ=銃の背後に回っているらしい。やがて Bilal の声でカウントダウンが始まった。他に何人かの声も交じる。どうやらカメラの背後には人が集まっているらしい。そして、終了の時刻となった。

ストリーミング音声からは、拍手の音が聴こえ、続いて Bilal がスピーチしている声が聴こえてきた。しかしカメラは誰もいない部屋を写すのみ。これといって何の変化もない幕切れに、チャット参加者は拍子抜けしていた。そのうちに Bilal も室内に戻ってきて (銃の発射機構は止められていた)、ネット参加者に対してもスピーチがなされた。が、やはり「これで終わり?」という気持ちは消えなかった。

この、最後の様子はビデオで確認することができる

結局このパフォーマンスは何だったのか? なんとも言えない、はっきりしない気分だ。

2007.6.5

Motion Binding [id]

うーむ、これは不思議だ。初めは青い線が二本づつ組になって動いているように見えるけど、右上にある “occluders+” というボタンを押すと、隅に緑色の四角が出現し、そうすると菱形が回っているようにも見えてくる。が、もう一度ボタンを押して緑色の四角を消して見ると、どうしても菱形が回っているようには見えてこない。しかし、視点をずらして、視野の隅の方でこの図形を見るようにすると、菱形が回っているかのように見ることもできるようになる。 (Make: Blogより)
2007.6.7

パックマンの骨 [id]

パックマンの骨
2007.6.13

ロボピッチャー vs. ロボバッター [id]

リモートコントロールのロボバッターをジャンクパーツを集めて作り、ピッチングマシンと対決させている。機械同士の無機質な闘いが、静かに熱い。 ROBO-ONE とかはひたすら人間臭い競技だけど、こっちの方は全体として一つの機関を眺めているかのようで、こういう情念の絡まない方が好みだなぁ。
2007.6.13

ボブ ロス風アフロかつらが欲しい [id]

ボブ ロスの絵画教室を一度でも観たことがある人なら、あの独特の風貌と語り口 (日本語吹替:石井隆夫) が印象に残っているだろう。パロディを志す者であれば一度はネタにしたいと思うところだが、やはり同じ考えの者は大勢いるようで、YouTube で “Bob Ross” で検索すると結構見付かる。そんな中で面白かったのは“Bob Ross - Why I Don’t Paint People"。まさか歌でくるとは思わなかったぜ。
2007.6.19

GIMP で迷路を解く方法 [id]

Photoshop で迷路を解く方法という記事がMake: ブログで紹介されていたので、試してみた。といっても Photoshop は持ってないので、かわりにThe GIMP でやってみた。

まず、迷路を作るところから始めよう。適当な大きさ (下では 400x400ピクセル) のキャンバスを用意して、前景色を白、背景色を黒にし、 Filters->Render->Pattern->Maze を選択し、迷路の幅を 5ピクセルにして、 Depth First で迷路を作成する (参考図1)。次に、下図のように入り口と出口を作る。

こうしてできた迷路は、迷路内のすべての壁が外壁につながっている構造になる。これにしかるべき処理を施すと、

このような図になるのだが、やり方はわかるだろうか。

§

解答: 迷路の壁の一部を、Fuzzy Select で選択する (参考図3)。次に選択した範囲を、Select->Grow で4ピクセル拡げる (参考図4)。この状態で新しいレイヤを作り、選択している範囲を赤色で塗り潰す (参考図5)。そうした後、今度は Select->Shrink で選択範囲を2ピクセル縮め、選択範囲を切り取ると、答の経路に赤い線が引かれた状態になる。最後に、余計に塗られている部分を手作業で調整すればよい。

ちなみに何故これでうまくいくかというと、迷路の壁は、正解の経路の右側と左側の、二つの塊に分かれているからだ。だから、片方の壁を選択すると、それにつながっている壁のすべてが選択されるので、結果として右側か左側かのどちらかの塊を選択したことになる。選択範囲を拡げて塊の内側を埋めてしまえば隙間のない塊となり、その輪郭はまさに求めている正解の経路となる訳だ。

2007.6.21

PSC 2355 の設定 [id]

ヒューレットパッカードの複合プリンタ「PSC 2355」をCUPS から使っているのだが、下マージンがプリンタの仕様に比べて広く、下端ギリギリの印刷ができない。現在 HPLIP が提供している PPD ファイルは PSC 2350 用のものしかないのでそれを使っているのだけど、もしかしたら 2350 と 2355 ではマージンが違うのかもしれない。しょうがないので、 PPD を直接いじってみることにした。

該当しそうなところとしては、“HWMargins” というパラメータで、まさにマージンの指定をするためのものだ。そこでこいつの値が “18 36 18 9” (左下右上の順) となっているのを、“18 18 18 9” としてみたが、変化なし。次のターゲットとして、“ImageableArea” という、印刷可能範囲を設定するパラメータ。こちらも書き換えてみるも、うまくいかない。

そこで今度は、いったん CUPS の方でプリンタを削除し、あらためて HPLIP の方からプリンタを登録してみた。この時、ImageableArea の値を書き換えた PPD を使うようにしてみたところ、おお、印刷範囲が変わる! が、意図に反して右マージンが変わってしまった。とにかく何故かはわからないがこのやり方でマージンが動かせることがわかったのでいろいろ試行錯誤した結果、 HWMargins を “18 18 18 9” に変えただけの PPD を使えば、下マージンを意図通りに狭めることができることがわかった。

しかし、原因がわからないのがちょっと気持ち悪い。 HPLIP のバックエンドは /etc/cups/ppd にあるファイルを見ていないのかな?

2007.6.27

たわしの好きなわたし [id]

諸君、わたしはたわしが好きだ。という出だしは今となってはいかがなものか、ですが、ともかくたわしはとても便利だ。排水口の洗浄から鍋みがきまで、台所では亀の子だわしが欠かせない。うちには自動食器洗い器があるのだけど、こびりついた汚れはやはり落ちにくいのと、食洗器の仕組上、汚れが大量にある状態での洗浄は避けたいので、近頃はざっと食器をたわしで洗ってから入れるようにしている。が、たわしで軽くゴシゴシとやっていると、見た目に限れば結構綺麗になってしまう。うちの場合、食洗器に食器がある程度たまるまでスイッチを入れなかったりするのだが、たわしで洗った食器を食洗器に入れてから放置しておいた翌日などに食洗器を開け、はてこの食洗器の中にある食器は洗浄したものなのかそれともまだ洗浄前なのか、判断がつきかねるという事態を招くことがある。

たわしでの洗浄のコツは、軽い力で丁寧に、時間をかけて洗うこと。いたずらに力をかけてもうまくいかない。ゆっくり、優しく扱うのが肝要だ。これ、何かにも通ずるような気がするのだが、さてそれが何だったか、思い出せない。

2007.6.29