2010年3月の小ネタ

インタラクション2010 [id]

先日は「インタラクション 2010」で論文発表を行うかたわら、 取材応対の仕事をしていました。その結果がこちら。

べつやくさん、デイリーポータルZの皆さん、どうもありがとうございました。

取材対応終了後、懐から「ココロミくん」(amazon)を取り出し、べつやくさんにサインしていただいた。いやっほぅ。

2010.3.12

「サはサイエンスのサ」 [id]

「サはサイエンスのサ」
鹿野司著 (早川書房)

Amazon 商品ページ

鹿野司さんの「サはサイエンスのサ」がようやく届いた。 SF マガジンの連載を大幅に加筆修正してまとめたもの。 鹿野さんの文章には、中学生の頃にログイン誌上で連載されていた 「オールザットウルトラ科学」で初めて出会ったんたけど、内容も語り口も凄く面白いので、とても楽しみにしていた連載だった。 ログインを買ってくると、まずゲーム情報やヤマログ、あと広告ページの後半に固まっていたアダルトゲームの広告の次くらいに(笑)読んでいたんじゃなかったかな。 あの独特の柔らかい語り口は、そのまま僕も真似している。「だである」調でずっと貫き通していると書いている方もなんだかイカリ肩になっちゃって、内容もどんどん固くなっちゃうんだよね。 丸谷才一の文章にも見るように、そういうところにすっと語りかけるような口調を混ぜていくと、読む方も息をつくことができるし、書く方も書く方で、肩の力が抜けるし、 「○○○は〜であるべきだ!」みたいな視点のコリをちょっとほぐすことができる。 まぁ、「こいつ言ってることがあやふやなんじゃないか?」と思われる原因にもなるかもしれないけれど。

ところで「サはサイエンスのサ」、売れ行き好調なのに在庫切れても重版かからないかも、なんだとか。出版状況はあいかわらず厳しいようだけど、 いい本なので、もうちょっと世の中に行き渡って欲しいなぁ。

2010.3.13

オブジェクト指向は「自然」じゃないよ [id]

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2010.3.18

Kindle を買ってみた [id]

そうそう、遅ればせながら、Kindle を買ってみました。

箱を開けてみたら、Kindle の画面に「ステップ1: ケーブルをつないでください」という、最初にすべき事が表示された状態で収まっていたのが面白い。

で、ここしばらく通勤の電車の中で使っているのですが、Amazon で販売されている Kindle 用書籍を読む分には、とても快適です。 何よりも、出先でポチるとすぐに本が買えてしまうのが凄い。 ポケットにやや収まりにくい大きさではありますが、軽くて薄くて、十分に読みやすい。 さすがに論文 PDF なんかは文字が小さくなり過ぎて辛いですが。

ところで、ふと思い立って、Kindle の画面を職場にある複合機のスキャナで読み取ってみました。

するとまぁ、こんな感じで、バッチリと読み取れています。

こちらが画面のみ切り出したところ。ちょっとコントラストは調整してありますが、十分に読める。

こちらがスキャナの解像度そのままの画面。画像圧縮の影響で輪郭が少しぼやけていますが、結構はっきり読み取れているのがわかります。 これなら、コピー機で紙に印刷することも十分可能ですね。いやまぁ、何のために、というのはあるんですが、液晶画面ではなかなかできない荒技です。

2010.3.18

“How to Write a Lot”〜論文を量産する方法 [id]

“How to Write a Lot”
Paul J. Silvia著

Amazon 商品ページ

Kindle で一冊本を読み終えた。“How to Write a Lot”という本で、主に心理学者向けに書かれた、学術論文の執筆生産性を上げるための指南書。(右のカバーイメージは書籍版)

基本的には学術論文を書く人向けの内容なのだけど、前半部分の “Specious Barriers to Writing a Lot” (書くことについての心理的障壁というもっともらしい嘘) や “Motivational Tools” は、たいていの文筆活動にあてはまりそうな内容。要約すれば、普段から文章を書く、あるいは書くための作業をする習慣を持たないといつまでたっても書けませんよ、というもの。ほとんど同じことは、キングの "On Writing" (邦訳「小説作法」(amazon)) にも書かれていたが、まぁそうですよねー。

具体的には、まず「何故書けないか」について、人がいいがちな言い訳について、それぞれを心理学的知見にもとづいて喝破していく。列挙していけば

  1. 「書く時間がとれない」
  2. 「○○を先にやっとかないと書けない」
  3. 「沢山書くためには××がないとなぁ」
  4. 「気分が乗ってくるのを待っているんだ」

などが槍玉に上がる。うんうん、耳が痛い…。

実際に書くためのツールとして、「目標の定め方」「進捗管理をしよう」といった内容の how to が書かれていて、さらに業界で最も頻繁に耳にする言い訳 “writer's block” を粉砕。その後の章では英語特有の言い回しについてや、心理学系の学術雑誌に論文を投稿する心得などが説かれているので、やや一般向けとは言い難くなるが、おおむねどの分野・どの言語にも当てはまりそうな内容ではあった。

結局、とにかく書く事でしか前に進めないということか。書いて書いて腕を磨くことで、どんどん量が書けるようになっていくってのは、プログラミングでも同じだ。キングも書いている。「ナイフは研いでおくものだ」。

2010.3.22