2005年12月の小ネタ
5日
7日からのワークショップ "WISS" の準備で大忙し。 今年からプログラム委員なので、いろいろとやらなければならないことができてしまった。 もっとも、委員の中ではある意味一番楽な仕事なのではあるが。
7日
今日から WISS 出席のため、香川県小豆島へ。 電車→飛行機→バス→高速艇→バスと乗り継いでの遠征である。
会場の様子。天井の電飾は電動式で左右に動く。
今年は昨年よりさらに参加者が増え、160人を超えたとか。そのくせ論文投稿数は横ばいという、 ちょっとまずい傾向。 それを反映してかどうかは不明だが、例年ほどチャットが盛り上がらない。
一日目のデモ発表では、安村研の久保さんの「Flog」が印象に残った。 お風呂に入りながら、その日の出来事を見返して、ブログ的コンテンツをまとめられる、 というもの。お風呂道具がインタラクションの道具になっている。 現状の実装は、実に惜しいというか、肝心なところを外しているように思うのだが、 でもその根元の発想はいいんだよなぁ。こういう、「惜しい」発想をどう育てるかが、 WISS というワークショップにおける重要な課題なのだな。
今年は懇親会担当なのでその職権を活用し、例年ならいいワインがふるまわれるところを、 今年はいいビールを提供することにした。デュポンやヒューガルデンなど、 まるっきり自分の趣味で選んできたビールを、少しづつ宴席に投入していく。 「アルコールならなんでもいい」式の学生さんにさらわれないように調整するのが大変。
8日
WISS 二日目は、デモ発表があるのでちょっと忙しい。 という訳でしばらく秘密にしていたプロジェクトをとうとう公開です。
5月に誕生日プレゼントでもらったガチャガチャ本体、 もともと「研究に使いたい!」とほざいていた訳ですが、本当に研究に応用してしまったのが、 今回デモ発表したブツなのです。入手直後くらいに、多摩美術大学の楠先生に連絡をとり、 「ガチャガチャ使ってなんかしましょうよ」と始めたこの企画。開始当初から 「WISSのデモ会場でオッサン達がガチャガチャに興じる姿が見たい!」と楠さんと盛り上がっていたという裏の事情はさておき、 多摩美術大学の情報デザイン学科四年生の榎本香織さんが実際の製作にあたるという形でプロジェクト開始。 最初の打ち合わせでだいたいのコンセプトを決定するのに参加した後は、 ほぼ多摩美側に任せっきりにしていたのだが、無事いいものができあがりました。 一部に誤解を招いていたようですが、実装部分は私一切関わっていませんので。
想定通り、WISS の参加者のオッサン達がガチャガチャにコインを投入してハンドルをガチャガチャッと回して興じてくれた。 もうこれが見れただけで僕と楠さんの狙いは当たったと言えよう。 榎本さんデザインの人形やアニメも好評で、デモ発表賞の投票では惜しくも入賞は逃がしたが、 3位に入ることができた。
さて、夜の宴会ではこれまでいろいろと企画を実行してきましたが (OUISS2002, OUISS2003, プレゼン技術BoF)、 今年はずっと何も思いつかなかったので(OUISSはネタ切れっぽいし)、 今年は何もしないつもりだったのだけど、二日前の夜中に突然いい企画を思いついたので、 それをぶっつけ本番で実施した。
まずそのネタを思いついた夜中には、一部の人間にこんなメールを出していた。
福地です。
今年は WISS の懇親会(宴会)担当にもかかわらず、 今日の今日まで宴会の企画に着手できずほったらかしだったのですが、 今日になってピンと来たので、皆さまに声をおかけした次第です。
時代は 2.0 です。Web2.0 しかり、Binary2.0 しかりです。となれば当然、 WISS も 2.0 であるべきだし、その夜の宴会も 2.0 でなければなりません。
そこで、「なんでも 2.0」と題して、一人5分くらいの時間を使って、 2.0時代の到来を主張するという時間を宴会の席で設けようかと考えています。
それぞれのプレゼンの内容は、例えば WISS 2.0 であれば、
「WISS1.0」
- まず研究し、成果を貯める
- 論文にして応募する
- 査読通ったら口頭発表
「WISS2.0」
- 手ぶらで会場に来る (この辺が Dynamic)
- その場で研究 (この辺が Asynchronous)
- 出来上がった人から順に宴会へ
「WISS1.0の発表」
- 口頭発表
- チャットでつっこみ
「WISS2.0の発表」
- 発表スライドがブログ
- 質問はコメント
- トラックバックは?
とかなんとか、適当にそれらしき感じで新規性を匂わせ、時にはちょっと真面目な提案も含みつつ、 馬鹿な話ができたらなぁと考えています。
で、今回声をかけた皆さんには、僕が想定したお題というのがありまして、
- 豊田さん「プレゼン2.0」「システム名2.0」
- 寺田さん「ウケ狙い2.0」
- 江渡さん「くまうた2.0」でもいいですが、できれば「WISS2.0」をおまかせしたい
- 後藤さん「うただ〜2.0」(「音声入力2.0」)
- 渡邊さん「眺める2.0」(「安村先生2.0」も捨てがたいが、危険か?)
- 塚田さん「ガジェット2.0」
- 私「お蔵入り2.0」
というのはいかがでしょう。もちろん、他に良いお題がありましたら、 是非提案願います。また、この他に飛び入りが出ることを期待しています。
実施は二日目、8日の夜を考えています。まったく時間がありませんが、 もしご賛同いただけましたら、スライド5・6枚くらいの準備をお願いいたします。 その際、お題が決まりましたらこの ML に投げてください。
ホント、いきなりですいませんが、この面子ならきっとイケると踏んでますんで、 よろしくお願いいたします。
こんなメールを WISS の二日前に突然受け取った面々は、
うげげ、マジですか? でも、プレゼン2.0はアリそうなので、とりあえず乗ります。 ネタスライド間に合うかなあ...
とか、
うへー,今から準備はキツイっすね...
なんとかがんばります...
と、不平を言いながらも次々と企画に乗ってきた。
そして当日。
なんとか発表スライドを間に合わせたノリのいい面々が繰り広げた、 2時間近くに及ぶ爆笑のプレゼンテーション。飛び入りも数件入り、最終的なプログラムは
- 開会挨拶
- 栗原一貴「ウェアラブルコンピュータ2.0」
- 豊田正史「プレゼン2.0」
- 後藤真孝「音声補完2.0」
- 寺田努「受け狙い2.0」
- CM「日本学生ユーザスタディ互助会旗揚げ」
- 江渡浩一郎「Modulobe 2.0」
- 小関悠「SNS 2.0」
- 瀬川典久「開催予告2.0」
- 塚田浩二「ガジェット2.0」
- 渡邊恵太「眺める2.0」
- 福地健太郎「お蔵入り2.0」
と、充実したものに。どれもこれも、短時間で準備したとは思えないくらいおかしかった。 これはもう人選の勝利。というか、現在の WISS 参加者でこういった芸人気質でウケを狙える人ってのが、 どうしてもこういう人達になってしまうのだ。ここらで新人さんを起用したいなぁ。
9日
WISS 三日目は直島に場所を移して各種美術館や建築物を観て回る「直島セッション」。 直島というのはベネッセが主導でいろいろな芸術作品・建築物が集められている島で、 安藤忠雄とかその辺の系列で有名。
最初に向かったのは地中美術館。 ジェームズ タレルの「オープンフィールド」「オープンスカイ」は、 光そのものを観賞の対象にするための工夫が面白い。「オープンフィールド」では、 説明員の人が最低限の説明しかあえてせず、自分で手探りでその作品を探らねばならない。 「オープンスカイ」の方は、部屋の天井が突然ぽっかりと空に置き換わったような感覚。 まるで切り取って貼りつけたかのように見せるために、 天井に開けた穴の縁はかなり鋭角に削りとっているようだ。
ウォルター デ マリアの「タイム/タイムレス/ノータイム」は、 彫刻が置かれている部屋全体を含めた作品になっている。自然光の採り入れ方とか、 音の響き具合とか、その部屋にあるいろんな要素すべてが、作品としてどう見せるか、 考えて設定されている。あぁ、これが本当の「インスタレーション」なんだな。 今まで自分の作品の展示を「インスタレーション」と書いてきたこともありますが、 それ、全部取り消し。
余談ながらこの地中美術館、土産屋は「地中ストア」、 中に入っているカフェは「地中カフェ」、そこで売っているケーキセットは「地中セット」と、 まぁ何もかも「地中」なのであった。これはまるで「宇宙怪獣」に「宇宙美女」がさらわれ、 それを「宇宙パトロール」が「宇宙ガン」を手に「宇宙パトカー」で追いかけていく、 昔の SF 小説の感覚だ。
次は「家プロジェクト」 探訪ということで、ジェームズ タレルの "Backside of the Moon" がある 「南寺」へ。 真っ暗な部屋がうっすらと照明されていて、その中を8人ほどがほとんど手探りでうろつき回る。
そこからすぐのところに、「護王神社」がある。 こちらには杉本博司の "Appropriate Proportion" がある。ガラスの階段が地中の石室から本殿にまで延びている。 実は当初この階段に地下部分があるとは知らず、なんだ階段をガラスにしただけか、 とナメていたのだが、この地中部分の方は地上からの光を導いて神々しく輝いており、 大変美しかった。ただ、拝殿の作りはバランスが悪いせいか造りが若いためか、 なんとも頼りない感じ。
最後は「ベネッセハウス」。 こちらはまぁ普通に美術館だった。宿泊施設の方は泊まっていないのでよくわからない。 時間が余ったので、何人かと連れだって浜に出て、砂浜に落書をして帰ってきた。
以上で直島セッションは終わり。フェリーを待つ間、「007資料館」というかなり秘宝館テイストのトホホ資料館を観賞してから、 帰途へ。
14日
インタラクション2006のインタラクティブ発表申し込み。 また締切当日にジタバタしてしまった。
27日
「ジェンガ(amazon)」という、 積木を崩さずに積み上げていくゲームがありますが、このゲームの名前、 「姉歯」でも「木村建設」でもありませんから!
28日
ネタ自体は11月のもので、これを見付けたときから取り上げたいと思いつつ、 忘れていたのものを紹介。
「BLUE SKY IN GAMES」というキャンペーンで、 昨今急に増えた暴力ゲームではなく、もっとゲームがゲームらしかった頃のようなゲームを世に出すよう訴えるもの。 ゲームと暴力との関係についてはまだまだ議論が定まらない段階で、 それを否定する見解が出てみたりはするものの、 やはりこの風潮はやばいと感じる人も多いということだろう。 ただ、現在のゲーム市場全体を見てこの種の暗い暴力ゲームがどれ程を占めており、 どれくらい人気があるのだろうか。その辺を根拠にしないと、 いきなりこういうキャンペーンを張ってみたところでその後が続かないのではないかしらん。
29日
なんでも昨今のエロゲーは、音声を Ogg Vorbis で格納していて、しかもそれを切り出せる形で収録しているものが多いらしい。 ということはですよ、これと、対応するテキストとをあわせて抜き出すことができれば、 相当量のエロゲー的あえぎ声コーパスが構築可能ということですよ?!
何に使うんだ。