2007年11月の小ネタ
気がつけば11月
あっという間に11月。とにかく10月からずっと忙しく、ここの更新もままならない日々でした。 昨日でやっと一段落したものの、その間に積み上げてしまった諸々の雑用が片付かない。
Let's Note その後
Let's Note に乗り換えてから2週間以上経ち、なんとか安定した運用のコツが掴めてきた。
Suspend からの復帰にやたらと時間がかかる事があるのだが、 suspend している間に電源ケーブルを抜くか差すかするとその状態になるようだ。 また、それとは別に、タッチパッドのドライバに不具合があるのか、 キーボードやタッチパッドを触らないと X の画面が更新されなくなる、 という現象がやはり復帰時に発生することがままある。その際、dmesg には
psmouse.c: TouchPad at isa0060/serio4/input0 lost synchronization, throwing 1 bytes away.
というログが残っている。ざっとネット上の情報を漁った限りでは、 どうも ACPI 周りと喧嘩しているらしい。前述の現象とあわせて、 ACPI 絡みでなんらかの問題があるらしい。
なお、タッチパッドに関してはやはりまったく使いにくいので、 Logitech の VX nano (amazon)を購入。レシーバを USB ポートに差しっぱなしにしています。 マウス本体には電源ボタンついているので、 普段は電源を落しておけば勝手にポインタが動いたりすることはなく、たいへん便利。
今日から Piksel
今年もまた Piksel に参加するため、 ノルウェーはベルゲンへ出張。今年で5回目。今回は航空券の手配を先方がしてくれたのだが、 そのお陰で初めての SAS。久しぶりにスターアライアンスの国際線に搭乗。 さて乗り心地はどんなものか…。
Piksel での出し物のコーディングがまだ終わってません。 いきおい、機内でコードを書かねばならないのですが、 3年前のような気を使っている場合ではないくらい切羽つまってます。 しかも IEEE1394 カメラを使うプログラムなので、機内で走らせてテストすることができない。 ダミードライバでも書いておけばよかった。
Laser Trail Tracker 新作 at Piksel 2007
さて、今年は久しぶりにパフォーマンス発表を抱えており、そのコーディングが全然終わっていないので、 他の人の発表がある間もコーディングに勤しんでいた。 出発直前に、ノートPCのグラフィックチップで OpenGL を使うとフレームバッファからテクスチャバッファへのコピーにえらく時間がかかることを発見し、 慌てて昔組み立てたキューブPC を持ってきたのだが、 起ち上げてみたらメモリが 128 MB しか積まれていなかった。 今回のパフォーマンスは大量のフレームバッファをメインメモリに確保する実装になっていたので、 このままだとギリギリ分しかない(それでも OS と X11 とアプリケーションで 128 MB で動くんだから凄いもんだ)ので、 フレームバッファをビデオカードのメモリに確保するように変更、 あわせてベクタグラフィックスの描画部分をすべて OpenGL に移行させる。 これでようやっとフレームレートを確保できた。 以上のコーディングがすべて終了したのが本番2時間前。
で、パフォーマンスそのものについては、ビデオの編集が済み次第ここで公開しますが、 基本的にはこれまでやってきたレーザーポインタシステムを拡張して、 音を出すようにしたもの。音と映像の両方を一度にレーザーポインタで即興的に作り上げる、というもの。 パフォーマンスというよりは技術デモンストレーションなのではあるが、 まぁまぁうまくいったかな。
パフォーマンスが終わったあと、ドイツのアーティスト Malte に、 「グラフィックが Vectrex(ALL ABOUT VECTREX) みたいだったね」と言ってくれた。 まさにオシロスコープやベクタースキャンの感じをイメージしていたので、 Vectrex はドンピシャ。
UEC@UEC
昨日は大学の学園祭イベントの一つとして、稲見さんや伊藤さんらと、「超エンタテインメントコンピューティング@調布」と題したパネル討論イベントをやってきた。 電通大にいるエンタテインメント系に手を出している教員で集まり、 エンタテインメントを題材にいろいろとくっちゃべるという、 世話役稲見さん曰く「ゆるゆるトークイベント」。 突然司会役を振られたので、稲見さんが用意してくれたキーワードリストを片手に、 トークを仕切ってきた。唐突の司会業はとりあえずうまくこなせたようで、 トーク自体は非常に面白くなったと思う。用意されたキーワードのうち使ったのは、 「Nintendo DS・Wii」「初音ミク」「アイドルマスター」「妖怪(これは僕が直前にねじ込んだ)」。 他に話題に上がったのは「PAX パワーグローブ」「囲碁・将棋」「バーチャルリアリティ」「萌え」「魔法・魔法の杖」「ドラえもん」「トールキン」など。
個人的に感銘を受けたのは、普段僕が気にしているインタラクションのテーマが、 一通り俎上にのぼった、ということ。「言い訳インタフェース」「コンピュータに住む妖怪」「魔法の杖」「アートとエンターテインメントの違い」、 これらが壇上で、時には会場からの質問として、2時間のうちに語られたのだ。 やはり、どこかでみんな同じ問題意識を根底に持っているんだな。 と同時に、これらの問題が普遍的なものであることもわかった。
が、パネル討論形式だと、議論を深めるのは難しいんだよね。 どうしても「お客に観せるもの」であるため、今の話題にふさわしい自分の意見を、 自分の引き出しの中から探してきて、分りやすい形に噛み砕く作業に頭が使われるせいで、 議論の内容を自分の栄養として取り入れるだけの余裕を持つのが難しい。 加えて、パネルの討論の性質上「一つの話題に留まりすぎてはいけない」という意識がみんなにあるため、なにかと話題が先へ先へと動く傾向がある。 これが普段の集まりだと「あ〜なるほど」と言ってしばらく考え込んだりする余裕があるのでいいのだが、 ステージイベントだとそれができず、脳に定着させられないので、勢い、 普段考えていることを引っ張り出すのに終始してしまう。
一方で、やっぱりこういう意見交換の時間は普段なかなか持てないし、 昼飯などで時間を共にすることがあったりすると、 誰それの近況やら学内ゴシップやらのくだらない話題になりがちだ。 パネル討論でいい話ができるのは、「人に観せる」という緊張感があるためだろう。
では、パネル討論のいい点を活かしつつ、脳に実りをもたらす会合の形式は、 どんなものだろうか。 一つの解は、今年の頭に Tangible Play でやったような、 最終的に議論の結果を発表することを前提としたワークショップだ。 Tangible Play では、1グループ5〜6人で、それぞれにテーマを設けて2〜3時間程議論したのち、 その結果をポスターにまとめて発表する、という形式をとった。 これはなかなか密度の濃い議論ができた上、 最終的にポスターという形にまとめたお陰でその時の議論の内容・結論および自分がそれに対してどう考えたか、 といったことが、今でも鮮明に思い出せる。この「結論を人に観せる」という手順を確保するのが、 議論の結果を脳に定着させるコツなのかもしれない。
スーパーマリオギャラクシー
最近ゲーム三昧です。まず Wii 発売から11ヶ月、とうとう登場したスーパーマリオシリーズ最新作、 「スーパーマリオギャラクシー」 (amazon)。 現在、スター120個中110個まで進みましたが、結論から言って、 スーパーマリオ64 に及ばない、という評価です。
スーパーマリオ64 の魅力は、スーパーマリオのシステムを踏襲しながら、 3D 世界の中を歩き回れるその自由度にあった。 最大の難問であったと思われる、カメラ位置をどう定めるかという問題に対しては、 極力自動で最適な位置へカメラを回すようにしつつも、 プレイヤーがカメラを直接操作することで、プレイヤーの裁量に任せるという解決方法を採っていた。 これが、プレイヤーにとって、自分が好きなように世界を歩き回っている、 という感覚を産み出す力になっていたと思う。一方で、 カメラをうまく動かせないが故に 3D 酔いを感じたり、 自由に動かせるあまりどう動かしていいか分からず、逆に動かし過ぎたせいでデザイナーが用意したゲームの仕掛に気づかず、 ゲームが進められなくなるといった問題も生じていた。
一方、今回のマリオギャラクシーは、Wii のヒットで拡がったゲームプレイヤー層に配慮してか、 ゲームをあまり遊んでいない人でも「スーパーマリオ」という「ゲーム」を遊んでもらおうという意図があるようだ。 つまり、ゲームデザイナーが用意した仕掛を遊んでください、 それを遊んでいればとても楽しいですよ、という考え方だ。 それを端的に表わしているのが、カメラ位置の設定だ。 今回も一応、十字キーを使ってカメラ位置を修正できるようにはなっているが、 多くの場面でその操作が禁止されている。あらかじめ設定されたカメラアングルが強制されているのだ。 驚いたことに、立ち止まってマリオの視点からあたりを眺め回す、 というカメラ操作すら、禁止されている場所が少なくない。 同様の制限として、マリオ64ではどこへでも向けられた砲台が、 マリオギャラクシーでは限られた方角にしか向かなくなったとか、 惑星から惑星への移動が一方通行で後戻りできないといったものがある。
これは、自由度を高め過ぎたせいで、 プレイヤーが何をすればいいのか分からなくなるといった状態に陥いることをふせぎ、 ゲームプレイに専念してもらうことで純粋にゲームを楽しんでもらいたいというデザイナーの配慮ではあるだろう。 しかし一方で、スーパーマリオ64 が提供してくれた、自分の意志で世界を歩き回っているという自由度は失われてしまった。
もう一つ、今回の目玉の一つとして導入された、「小さな惑星」というフィールド、 また画面下方向に限らない重力方向というフィーチャーがもたらした、 操作系の混乱も問題だ。マリオがさかさまになっているときに、 スティックをどちらに倒すとどちらにマリオが動くのか、その割り当て方がどうにも慣れない。 これを視点変更で解消しようとしてもそれができない。確かに小さな惑星の視覚的イメージや、 その面白さは充分にわかるのだけど、それをゲームに導入した結果どれほど効果的に働いたかを考えると、 果してそれ程新しい面白さに結びついているだろうか。どちらかというと操作系の混乱という害の方が多いように思うのだ。
一方で、実にうまく働いている新機能ももちろんある。 背景音楽と画面の動きおよび効果音の同期は、実に小気味よい。 先日配信が始まった「みんなのニンテンドーチャンネル」でも似たような技術が導入されているところを見ると、 任天堂は今後この技術を様々なコンテンツに導入していくことだろう。
ゲームセンターCX: 有野の挑戦状
そんなこんなでマリオギャラクシーでイライラしながらスター集めをする一方で、 つい衝動買いしてしまった「ゲームセンターCX: 有野の挑戦状」(amazon)は、 かなり楽しめた。ゲームの中身は、ファミコン時代のゲームを模したゲーム内ゲームを、 ファミコン黎明期からスーパーファミコン登場直前あたりまでのゲームの進化に合わせてプレイしていくというもの。 最初にプレイできる「コズミックゲート」は「ギャラガ」の雰囲気で、 そこから「ロードファイター」に似た「ラリーキング」、「スターソルジャー」的な 「スタープリンス」などを順番にプレイしていく。目玉ゲーム「からくり忍者ハグルマン」は、 パワーアップした「ハグルマン2」、がらりと雰囲気を変えて「SHINOBI」システムが入った「ハグルマン3」が出るという凝りよう。前述の「ラリーキング」も、 カップラーメンメーカーとのタイアップ版が登場するという、 遊び心に溢れた構成になっている。
で、このゲーム内ゲームが、実によくできているんだ。 ウラワザあり、隠れキャラあり、隠しボーナスありで、 さらには一周クリアしたら「今までの敵はニセモノでした」と二周目をやらされたりという 「魔界村」でお馴染みの脱力フィーチャーもあり、 押さえるべきところはしっかり押さえている。加えて、それぞれのゲームは程よい長さで終えられるコンパクトな作りになっているので、実際に当時の懐しゲームを押し入れから引っ張り出したりすると、 そうした要素を味わい尽そうと思ったら長々とゲームを遊ばなければならないところを、 これらのゲーム内ゲームは程よくエッセンスを凝縮しているため、 とても快適に当時の雰囲気を味わえるのだ。
できれば、新ハード登場のところまでやって欲しかったなぁ。