ビデオゲームの部屋:M.U.L.E. (Ozark Softscape, 1983)

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画面は PC-8801mkII 版

惑星開拓を題材とした、マルチプレイヤーゲームの傑作。 無人島開拓を題材としたボードゲーム「カタンの開拓者たち」(KOSMOS, 1995) にもつながる「開拓もの」の嚆矢だ。

ゲームが始まると、まずは土地の割り当てがスタートとする。早押しで条件の良い土地を手に入れたら、 今度はその土地で何を生産するかを決める。このとき、「M.U.L.E.」と呼ばれる、 汎用の4足歩行機械をまず購入し、その後にその M.U.L.E. を目的に沿って改造してから自分の土地に導入しなければならない。 導入した M.U.L.E. の改造内容によって、その土地で何が生産されるかが決まるわけだ。

もちろん、M.U.L.E. を買うのにも、改造するのにも金がかかる。加えて、 M.U.L.E. は惑星の中央市場で、その惑星で採れた鉄鉱石を元に細々と生産されるものなので、場合によっては在庫が尽きてしまい、必要な M.U.L.E. を手に入れられないかもしれないのだ。 さらに、M.U.L.E. を充分に動作させるためにはエネルギーが必要なのだが、 このエネルギーも、エネルギー採取用に改造された M.U.L.E. を使って生産しなければならない。入植時に持ち込まれたエネルギーが尽きるまでに、惑星全体の(少なくとも自分の) M.U.L.E. が動作できる程度のエネルギー生産ができる態勢を整えなければならないのだ。

そしてもちろん、プレイヤーが活動するために必要な食料も、この惑星で生産しなければならない。幸い、餓死してしまうことはないものの、充分な食料が手に入らなければ、次の自分のターンでの行動が大きく制限されてしまう。 時には、M.U.L.E. を売り払ってでも食料を購入しなければならない場合もあるだろう。

しかし、ここが M.U.L.E. の醍醐味なのでもあるのだが、惑星上にある食料の量には限りがある。 もし需要が供給を上回る場合には、競売にかけられることになる。もちろん、その値段はプレイヤー間で決まっていくので、食糧難のときはすさまじい値段に吊り上げられてしまう。これは食料のみならず、エネルギーでも同様である。

また、鉄鉱石・宝石の類も競売の対象となる。宝石に限っては惑星上で消費されることはなく、他所の惑星への輸出品となるのだが、中央市場での宝石の買い値は乱高下するので、値が安いときに他のプレイヤーから買い叩き、値が上がったときに売って利鞘を稼ぐ、といった行為が可能となっている。

ゲームとしてのコクはカタンの方が明らかに上だけど、M.U.L.E. には M.U.L.E. の楽しさがある。例えば、 カタンは物々交換のみなのに対して、M.U.L.E. は貨幣経済を採っている。加えて、 各資材の生産量は自分で調整できるので、一発当てて大儲けという感覚が味わえるところが楽しい。 また、ゲーム終了時に開拓コロニー全体の価値が計算される点が面白い。これにより、 プレイ方針は開拓地内での競争だけにとどまらずに、協力してプレイヤー全員の利益を図る事も目的となるのだ。 このあたりの特徴は、一回のプレイではあまり気にならないけど、 多人数で何十回とプレイしていると実に面白い要素として効いてくるようだ。 他にも、競売での締切間際の「キンコンキンコン」とか、 プレイヤーのあまりの愚かさに同情して物資を送ってくれる故郷の親戚だとか、 記憶に残っている要素は色々ある。

ところでM.U.L.E.において未だに気になる点が沢山ある。

どなたか御存じの方がいらしたら教えてください。