コンピュータ囲碁の進化は「モンテカルロ法」の導入により新時代に突入した。それまでの、人間が持つ知識をプログラム化するという手法から、コンピュータ独特の解法が人間を負かすようになり始めている。このままコンピュータが強くなっていった時に何が起きるか。やがて「何故このプログラムは強いのか」を、人間が理解することができなくなる事態が訪れるかもしれない。人工知能が産みの親である人類の能力を超える「シンギュラリティ」について、SF 作家のテッド・チャンの Nature 掲載小説を紹介しながら論じる。
2008.9.8