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覆面算の収束率

「覆面算」とは、計算式中の数字を、アルファベットや漢字などの記号に置き換えたものが問題として出され、それぞれの記号がどの数字を対応しているかを推理するパズルである。同じ記号は同じ数字を表し、異なる記号は必ず異なる数字を表している。例えば

SEND + MORE = MONEY

という式を上記の規則を満たすように各記号を復元すると、

9567 + 1085 = 10652

という解が得られる。

問題の作り込みが甘いと、解が一つに絞れない場合がある。例えば

GIVE + ME + MORE = MONEY

は、

9482 + 12 + 1032 = 10526
9432 + 12 + 1082 = 10526

の2種の解が得られる。

パズル問題にするには複数の解があるのは好ましくないので、いずれかの記号がどの数字を表しているかを指定することがある。例えば上記の例の場合、「V = 8」という条件を付与すれば、解は一つに収束することになる。

さてここで、ある覆面算が与えられたとき、追加条件がないときに得られる解の数を m、条件を一つ与えることで得られる解の数を n で表し、m/n をその覆面算の収束率と呼ぶことにする。先程の式の場合、「V = 8」という条件を与えた際の収束率は 2 となる。

このときの、最大の収束率を持つ覆面算はどのようなものか、というのがこのパズルのテーマである。

悔しいがこのテーマそのものは私の手に余る。論理的に解こうとしてもどこから手をつければいいのか、見当もつかない。ひとまず足し算に限って、おそらくはこんな形の式がよいだろう、と当たりをつけた上で試行錯誤してようやく辿り着いたのが 120 という値である。収束率の上限は、最大限に見積れば 9! + 1 にはなるだろうから、それに比べるとまだまだ小さな値でしかなく、改善の余地はおおいにありそうだ。

さて、これで終わるとパズルにならないので、先ほど書いた、私が辿り着いた収束率 120 の式を以下に示して問題の代わりとしたい。これにどのような条件を加えると唯一解が得られるだろうか。

ABA + CBC + DEF = AGCH

解答