エッセイ

2011年3月11日のタイムカプセル

先日、福島県双葉群の浪江町を訪問する機会があった。原発事故の影響でながらく立ち入り禁止になっていたが、現在は「避難指示解除準備区域」に指定されており、日中の立ち入りはできるようになっている。 放射能汚染のために復旧作業もままならず、地震直後 …
2016.8.9

ポケモンGoのデザインは「歩きスマホ」を促しているか否か問題

ざっとネットに出ている論調を見てみると、ポケモンGoが「歩きスマホ」を抑制している点として、 画面を見ていてもメリットがない やせいのポケモン出現は振動で知らせる やせいのポケモンとのバトルは立ち止まってやらないと難しい ポケストップやジム …
2016.7.25

投票することの意味

こんどの参院選から選挙権が「18歳以上」に引き下げられたため、大学にも選挙権を持つ学生が急に増えた。教員として、なにかしら伝えられることがあればと思って書いてみた。投票先をどう決めるとよいか、といったことについてはあちこちですでにいっぱい書 …
2016.7.5

靴下を揃えても

靴下はすべて同色同形状に揃えておくと、洗濯して靴下を整理する際にいちいちペアとなる靴下を探さずに済むので効率的だ、という説がある。確か、どこだかの数学者のエピソードとして、昔読んだ本に紹介されていたように思う。
2016.6.23

キング「死のロングウォーク」に施された仕掛け

前の記事の続き。 スティーブン・キング『死のロングウォーク』のある章にエピグラフとして掲げられた次の一節。 「血が流れだしました! リストンはよろめいています! クレイはやつぎばやに連打をくりだしています! じりじり押しています! クレイは …
2016.6.15

クレイ-リストン第二戦

「血が流れだしました! リストンはよろめいています! クレイはやつぎばやに連打をくりだしています! じりじり押しています! クレイはリストンを殺そうとしています! クレイは殺そうとしています! みなさん、リストンはダウンしました! ソ …
2016.6.15

残像ディスプレイによるセキュア光通信

華不魅『GLAMOROUS GOSSIP』に、上のような描写が出てくる(単行本5巻)。細かい説明はないので想像で補うしかないのだが、腕時計型のデバイスは残像ディスプレイになっていて、口座情報を秘密裏に相手に伝えることを目的としているのだろ …
2016.6.3

『ズートピア』に過剰に期待し過ぎた結果

いやたしかに、『ズートピア』凄くいいアニメーション映画です。 なんだけど、動物達が謎の進化を遂げて肉食動物と草食動物が殺し合うことなく暮らすようになったとか、ズートピアに犬・猫の類や鳥がいないところとか、そもそもの「ズートピア」という言葉の …
2016.5.8

よそいき言葉のピクトグラム

公共の建物におけるトイレ案内はデザインのほころびの宝庫で、なにしろ緊急事態を抱えた人の社会的な生き死にを分けるものであるから、おのずとそのデザインにもゴツゴツとした実用本位な側面がどうしても出てくる。
2016.3.27

痛みと空腹

頚椎を痛めて以来、痛みで寝付きが悪くなることが多いのだが、「うわ、これは痛い、こんなの眠れるわけがない。もう駄目だ。」と思っていても、いつの間にか眠っていたことに朝になって気づく、というのを幾度となく経験している。これがさらに痛みが強くなっ …
2016.2.1

Let the Episode IV be

ビートルズの “Let it be"、現在入手しやすいものでは、 ジョージ・マーティン版(シングル版) フィル・スペクター版(アルバム版) Naked 版 の3種類ある。これらのうちのどれが好きか、という質問に対して、「 …
2016.1.10

『ドラえもん』における「空き地」描写の変遷

『ドラえもん』に出てくる「空き地」、と言われれば、奥に土管が三本積まれた風景くらいはすぐに思い浮かべることができるに違いない。では、その空き地には他に何があったか、と問われると、すぐには思い出せない人も多いだろうし、その答も人によってまちま …
2015.12.24

プログラムを数学の言葉で理解すること

プログラミングを学ぶ過程において、抽象度の低い、コンピュータの現実の実装に沿った言語で学ぶべきか、それとも数学的概念からプログラムを理解できる、抽象度の高い言語を使うべきか。大学でプログラミングを教える立場からの考察だが、結論はない。ただただ、コンピュータという妖しい存在の、奇妙な面白さが好きだ、というしかない。
2015.12.12

水面GIFを使った錯視アニメーションの試作

水面gif が流行ってたのでやってみた。 二枚目のものは「サッチャー錯視」をやってみたものなんだけど、波紋効果が強過ぎたせいか、さかさまにしてみても違和感をあまり感じられない。
2015.11.25

身体で覚える

子供の玩具で、板に○や△といった形の穴があいていて、そこに同じ形の積み木を通すことができる仕掛けのあるものを、知育玩具売り場などでよく見かける。こないだ、そうした玩具の遊び方を大人が子供に教えているところを見かけて、ちょっと考えてしまっ …
2015.10.11

「『広辞苑』を散歩する」の「無洗米」批判を批判する

岩波書店が文庫本などに挟んでいるしおりで、「『広辞苑』を散歩する」と題した短文を載せたものがあるが、その中の一つで「無洗米」を取り上げている。『広辞苑』の第六版であらたに収録された言葉である。
2015.10.5

プロトコルの発生

赤ん坊の相手をしていると、こちらの身振り手振りの語彙がどんどんおかしくなっていく。 ちょっとむずかっているときとか、あるいは笑顔を写真に収めたいときなんかに、相手の気を引こうとしてさまざまなアクションをこちらは試すんだけど、その反応はこちら …
2015.6.7

人工知能とキャッチコピー

ちょっと前に「人工知能と創造的行為」という一文を書いた。キャッチコピーを人工知能が書けるか、という話題に対して否定的に書いたものなんだけど、「書けるよ」ってな話があがっていた。 Computers can now get you to …
2015.4.13

桜の花のつかまえ方

自宅の近くには見事な桜の大木があり、この時期はあたりの道路をピンクに染めるのだが、勤務先での新入生ガイダンスからの帰り道、近所の女子校の学生とおぼしき二人が、その樹から落ちてくる花びらを空中でつかまえる遊びをしているのにでくわした。思えば僕 …
2015.4.4

たいやきの耳

ときおり見かける、鯛焼のまわりに薄くついている生地の焼けたの、店によって「耳」と称しているところと「羽根」と称しているところがあり、いっこうに統一される気配がない。もちろん統一される必要性なんてまるでないのだが、しかし気になる。
2015.3.18