ビデオゲームキャラクターのまばたき表現について 電ファミニコゲーマー・しば三角氏による「ゲームキャラが初めてまばたきしたのはいつ?」という大変面白い記事に刺激を受け、まばたき表現の意義とその出自について考察した。「まばたき表現」の定義にもよるが、キャラクターが「生きている」ように感じられる演出を目指したもの、と解釈するなら、その嚆矢を1983年の『Gossip』と『Space Fury』であると本記事では結論する。2019.1.22
乗り遅れたっていいじゃないか 巷に溢れる各種新規サービスについては「本当に善いものなら一年くらい乗り遅れても困らない。もし一年遅れたくらいで損失を被るようなら、それは本当に善いものではない」という信念を獲得して以来、まあまあ心穏かに過ごせるようになった。 2018.5.8
AI の特徴 高橋秀俊先生といえば、日本のコンピュータ研究の最重要人物の一人で、かの「ロゲルギスト」同人でもある。その高橋先生がタイムシェアリングシステムの開発経験からまとめた、機械から見た人間の特性、という文章が知られている。和田英一先生が抜粋転載した …2018.4.26
なぜ話を難しくしてしまうか 論文や解説記事なんかで、あるいは講演で、哲学や数学などの分野から概念を借りてきて説明したりすると、「なぜわざわざ専門用語を使ったりして話を難しくするのか」と言われたりすることがある。さらには「本当に分っているならもっと平易に言えるはずだ」な …2018.3.19
ゲームと記号:記号で描かれる世界 コンピュータゲームには記号的表現が不可欠だが、その「記号」という考え方になじんでもらうために書いたテキストシリーズ。本エッセイでは、ゲームと記号の関係のうち、「フィールド」「マップ」などと呼ばれる領域について取り上げる。2017.7.10
ゼルダの伝説:ブレスオブザワイルド雑感 任天堂『ゼルダの伝説:ブレスオブザワイルド』を Switch でようやくクリアしたので、雑感など。 伝統のアクションRPGとしては、たいへん遊びやすく、またやりこみ甲斐もあって、凄まじくよくできてます。なんでゲームの中でまで天候待ちしなきゃ …2017.7.10
問題を可視化する 先日、学生さんが国際会議で発表された論文を紹介する場に居合わせたのだが、論文中で提示されていた問題について「著者はこれを『邪悪な問題』と呼んでいます」と言っていて、しばらく意味が分からなかった。 2017.6.29
偶然という物語 偶然手に入ったものほど、捨てにくいものはない。それが、いつでも手に入れられるであろう文庫本であっても。 最近は紙の本を買うことがだいぶ少なくなってきて、本屋をうろつく回数も減ってしまった。それでも足を運ぶことのある本屋は、自宅近くの買い物 …2017.3.10
あえて書かない 坂口安吾の『堕落論』は、ことあるごとに読み返す愛読書の一つである。名作であり、各社の文庫に様々なまとめ方で入っているのだが、角川文庫に収録された『堕落論』(amazon) には「戯作者文学論」が一緒に収録されている。 2017.3.1
Mad Libs式関数記法 プログラミング言語では、関数(メソッドもここでは含む)はたいがい、 関数名(引数1, 引数2, …) というように、まず関数名を書き、その後に引数を順番に並べる形で呼び出される。括弧はあったりなかったりだが、関数名と引数の順番はまずどの言語 …2017.2.27
Inflated Reality - 膨張させられた現実 IoT やら VR/AR やらが生活に入り込んでくる将来の広告の姿はどんなものだろうとぼんやり考えていたら、メガネ型のデバイスを利用した広告手段が30年近く前に提案され、映像化までされていたことを思い出した。 2017.1.26
19世紀のパリ・下水事情 先に書いた「うらはらな言葉」で取り上げた、渡辺一夫の短文「パリの記念」で紹介されている、1894年に発布されたパリ市の衛生条例に関する記述を、あらためて検討したい。 (パリの便所の壁に打ちつけてあった)その貼り札には、「一八九四年七月十日発 …2016.12.27
うらはらな言葉 『高校生のための文章読本』(amazon)というなかなか読みごたえのある本に、仏文学者・渡辺一夫の短文「パリの記念」が収録されている。書かれたのは 1955年ということだが、それを読んで時代の移り変りというか、日本人のある意味での変わらなさ …2016.12.27
ほぼほぼ(数学) 数学の分野で「たかだか」という表現が使われることがある。元々は日常的な言葉だが、数学的にはそれなりの厳密な定義がなされていて、日常語としての「たかだか」とは少々用法が異っている。日本語版 Wikipedia では「高々(数学)」と、「(数 …2016.11.2
飛ぶ夢を見なくなってから そういえば、空を飛ぶ夢を見なくなってからだいぶ経つ。 「空を飛ぶ夢」というと、爽快感とか自由、希望とか、はたまた奔放な性交(唐沢なをきが漫画で描いたように、どんな夢でもエロネタに結び付けられるものだ)といったものを想像されるかもしれないけ …2016.10.30
ゲーム主人公呼称の共有問題 コンピュータゲームで主人公の名前を好きなようにつけられるとき、友達との会話で主人公を何と呼ぶか? さらには二次創作作品で主人公を扱っていること示す方法について。2016.10.17
「透明な主人公」という類型 コンピュータゲームの主人公キャラクター類型の一つに、寡黙だが凄腕もしくは努力家、というのがある。小説や映画と異なり、プレイヤーが能動的に物語に関わる一方で、用意されたシナリオに沿ってゲームを進行させねばならないコンピュータゲームの宿命を象徴するこのキャラクター類型を、『ポートピア連続殺人事件』・『幻想水滸伝』・『ボクと魔王』 などを参照しながら論考する。2016.10.5
バーチャル・リアリティと物語 バーチャル・リアリティ (VR) が再び脚光を浴びるにつれ、映画の元祖的存在である『ラ・シオタ駅への列車の到着』を引き合いに出し、スペクタクルな迫力という原始的な映像体験が VR により蘇えるのではないかという言及が見られるようになった。これについて、映像史的観点からコメントしたい。2016.10.5
ゲームのちょっと怖い話 伊集院光の「深夜の馬鹿力」2011年5月16日放送分の、思い込みや勘違いなどの心理的錯誤にまつわる体験談を集めた「空脳アワー」でこんな話が披露されていた。 幼稚園の頃、近所の友達がスーパーファミコンを買ったというので遊びに行ったところ、その …2016.9.11