AI の特徴
高橋秀俊先生といえば、日本のコンピュータ研究の最重要人物の一人で、かの「ロゲルギスト」同人でもある。その高橋先生がタイムシェアリングシステムの開発経験からまとめた、機械から見た人間の特性、という文章が知られている。和田英一先生が抜粋転載したものをご参照いただきたい。項目のみ抜粋する。
- 人間は気まぐれである
- 人間はなまけものである
- 人間は不注意である
- 人間は根気がない
- 人間は単調をきらう
- 人間はのろまである
- 人間は論理的思考力が弱い
- 人間はなにをするかわからない
現代の Human-Computer Interaction 研究にもこの知見はそのまま通ずるものであり、これを1960年代にコンピュータと絡めて指摘したのはさすがの慧眼である。
このリストを眺めていて、最近の「人工知能 (AI)」についての知見に重なって見えたように思えたので、冗談半分にパロディを書いてみたい。
- AI は気まぐれである
- ちょっとパラメタや学習セットを変えただけで結果はガラリと変わる。望まぬ結果が返ってきたらすぐに対処できるよう人間は備えなければならない。
- AI はなまけものである
- AI は自分で学習用データを集めてきてくれたりしない。人間の方で適切に面倒を見てやる必要がある。
- AI は不注意である
- AI は計算結果が人間社会にもたらす影響に頓着しない。不用意に軋轢をもたらしたりしないよう人間が代わりに注意してやらねばならない。
- AI は根気がない
- すぐ熱暴走したりするので、冷却期間をおいた後に続きをやることが可能となるよう、配慮してやらねばならない
- AI は単調をきらう
- …ということはないようなので、ここだけは、人間はなにもしてやる必要はない(かも)。
- AI はのろまである
- だから、結果がなかなか返ってこなかった場合に人間の方が暇を持て余してゲームなどやり始めるとそっちに GPU パワーが使われたりする、なんてことのないように人間側を律する必要がある。
- AI は論理的思考力が弱い
- というかそもそも思考しているといっていいのかどうかも怪しいのだが、同じく論理的思考力の弱い人間が勝手に AI でなんでもできると思ったり、反対に極度に恐れたりするので、AI に代わる新しいバズワードを与えておくのがよい。
- AI はなにをするかわからない
- ちょっとした工事のためにマスドライバーを使って爆撃なんかしたりする(ホーガン『未来の二つの顔』より)。なのでスペースコロニーを作って(略)