ゲーム主人公呼称の共有問題

『ドラゴンクエスト』(ENIX, 1986) の主人公キャラクターのことを話題にするとき、何と呼べばよいか。とりあえずは「主人公」と呼べばよいのだが、ドラクエの世界を尊重した呼び方としては「勇者」がある。一方、『ファイナルファンタジー』シリーズでは第2作から主人公の名前があらかじめ決まっているが、この名前はプレイヤーが変更することもできる。なので名前を変えるプレイヤーもいたが、話題にするときには、「セシル(『FFIV』)」「クラウド(『FFVII』)」など、既定の名前を使うのがほとんどだ。さて、「ロールプレイングゲーム」として、貴方はどちらのシステムを好むだろうか。そしてそれは何故だろうか。

本稿は、エッセイ「『透明な主人公』という類型」で議論した主人公キャラクターの類型をより深く論じるために、主人公の名前をゲームはどう扱ってきたかを調査する過程で思い当たった、上記のような「主人公の呼称をどう共有するか」という問題について論じる。

とっかかりとして『幻想水滸伝』(KONAMI, 1995)『幻想水滸伝II』(KONAMI, 1998) から始めて、いくつかの事例を挙げながら五月雨式に論じてみたい。

『幻想水滸伝』の事例

『幻想水滸伝』というゲームは、『水滸伝』をモチーフにしているだけあって大量にキャラクターが登場するゲームであり、そのキャラクターの設計とそれを引き立てるシナリオの巧みさから、キャラクターへの支持が多く、二次創作作品が多く作られている。

二次創作の世界では、作品がゲーム中のどのキャラクターを主に取り上げているかを示すことでカテゴリを形成している。主人公以外のキャラクターはまず名前がついているのでそれを示せばいいのだが、『幻想水滸伝』では主人公の名前が決まっておらず、プレイヤーが自由につけることができるため、話は簡単ではなくなる。

実際に同人誌を読んでみると、各作家さん達は主人公に思い思いの名前をつけている。それを読んでいると自分が普段遊んでいる「幻想水滸伝」の主人公と名前が異なっているため、ちょっとした違和感を最初に感じるものの、すぐに慣れてしまう。

問題は、その同人誌がメインに取り上げているキャラクターは誰か、という情報を共有する際に、統一された名称が必要だということだ。二次創作作品を求める人は、自分の好きなキャラクターの名前を手がかりに作品を探す人が多い。同好の士に作品を読んでもらうには、キャラクター名の提示がほぼ必須なのだ。しかし、その名前が不定では、情報の共有のしようがない。

そこで、『幻想水滸伝』の二次創作では、主人公名称として「主人公」という言葉そのものが使われ、カップリング表記†1ではその略称として「主」が使われる。

この問題は『幻想水滸伝』に限らず、主人公の名前が自由に決められる様々なゲームで共通するのだが、『幻想水滸伝』はちょっと面白い事例なのでつっこんで紹介する。『幻想水滸伝』の第一作が出た当初は、主人公キャラクターを扱う同人誌では汎用呼称である「主」がよく使われた。加えて、主人公のキャラクターには忠実な召し使いがいて、彼が主人公のキャラクターを事あるたびに「坊ちゃん」と呼んでいたため、同人作家達の間でも主人公キャラクターを自然と「坊ちゃん」という名称で呼ぶようになっていく。そのため主人公キャラクターの略称として「坊」も広く使われていた†2

さて、続編の『幻想水滸伝II』では、そうしたわかりやすい呼称が提供されていなかったため、同人誌で扱う際には必然的に「主」と呼ぶことになる。ところが『幻想水滸伝II』には前作の主人公、すなわち「坊ちゃん」も登場するため、この二人の主人公を同時に扱うような同人誌においては、名称の衝突が生じてしまう。そのため、『幻想水滸伝』の主人公を「坊」と呼び、『II』の主人公は「主」または「2主」と呼ぶことで区別するようになる†3

乙女ゲームの事例

似たような事例は他の作品でも見られる。これは私が教えている「コンピュータゲーム史」の講義の課題として学生が調べてきてくれた事例なのだが、いわゆる「乙女ゲーム」の二次創作作品でも主人公キャラクターをメインに扱ったものは少なくなく、カテゴリ紹介においてはやはり「主人公」と呼ばれるケースが多い。

ただ、多くのゲームでは主人公のデフォルト名が定められている。乙女ゲームの嚆矢とされる『アンジェリーク』(光栄, 1994)の場合、そのタイトルである「アンジェリーク」は主人公のデフォルト名「アンジェリーク・リモージュ』からとられている。ゲームのタイトルにも使われるくらいなので、このデフォルト名は『アンジェリーク』の主人公が登場する続編や公式メディアミックス作品は言うに及ばず、二次創作においても作品中では主人公を「アンジェリーク」もしくは「アンジェ」と呼ぶのが一般化している。

『アンジェリーク』のリメイク作品『アンジェリーク・ルトゥール』(コーエーテクモゲームス, 2015)登場人物紹介ページより。「※名前は変更できます。」と注が打たれている。

乙女ゲームで特徴的なのは、主人公のデフォルト名がこのようにはっきり決まっている場合でも、主人公の名前を変更できるものが多く、またゲームを紹介する Web ページなどで「※主人公の名前は変更できます」と目立つように注記しているものがとても多い。試みに、コムショップの調査による「乙女ゲーム2016年上半期発売売上ランキング」の上位10本のゲームを調べてみたところ、すべてのゲームで主人公のデフォルト名が定められつつ、名前変更が可能となっていた(ただし一部ゲームでは、姓は変更不可)†4

しかしながら、乙女ゲームはなかなか機微のあるもので、デフォルト名が決まっているゲームでもそのゲームを紹介する文章などでは極力その名前を使用せず、「主人公」という表記を用いる場合も多い。おそらくは、名前を自由につけたいプレイヤーの心情に沿い、極力主人公の名前を特定しない方がよい、という理解が行き渡っているのだろう。同じ趣旨でか、作中で一意に決まった愛称が設けられている場合にはそれが使われる事もよくある。また主人公に「委員長」「生徒会長」などの役職が与えられている場合はそれを使用したものも見られる†5。これはキャラクターに声優をあて、メッセージを読ませる事が多いこの種のゲームにおいて、固定した名称がないと主人公の名前が標準から変わっている場合に発声させることができないため、固定名称の設定が不可欠、という事情も手伝っている。こうした作品の場合は二次創作においてもその呼称が踏襲される傾向が見られる。(後述するがこの問題を技術的に解決した作品もある)

この傾向は、主人公のデフォルト名が設定されていないゲームでも同様である。例えば『刀剣乱舞』(DMMゲーム+ニトロプラス, 2015)では主人公の役職は「審神者(さにわ)」とされているため、二次創作でもこれを利用する場合が多い。また、ゲーム中で主人公に対して「主(あるじ)」と呼びかけるキャラクターが多いことから、こちらもよく使われる。

ただ、乙女ゲームではそもそも主人公の女性キャラクターを主題にした二次創作自体が全体から見れば少ない。基本的には男性キャラクター陣の方が主たる要素であり、主人公キャラクターはプレイヤーの分身としてあまりキャラクターを立たせない傾向がある。

これが、主人公も男性キャラクターとなることが多い「ボーイズラブ (BL) ゲーム」になってくると、主人公キャラクターも鑑賞の対象となるため、おおいにキャラクターを立たせることとなる。そのためか、その名前も固定となっていることが多いように見える†6。BL ゲームでは、プレイヤーは主人公とされるキャラクターを一応は操作するものの、鑑賞の対象となるのは男性キャラクター間の関係性であり、そこからはプレイヤー自身を切り離して鑑賞するという志向がある†7ためか、主人公キャラクターの名前を変えることでロールプレイ性を高めたいという要求がそもそも存在しない、ということも背景にあるだろう。

『AMNESIA』(オトメイト, 2011)Web サイトのキャラクター紹介より。

面白い事例としては、乙女ゲームブランド「オトメイト」の『AMNESIA(2011) がある。主人公はデフォルト名なし・名前入力必須・声優なし、というパターンで、その容貌は明確に定まっているものの、ゲーム開始時に記憶を喪失するため、性格や出自は曖昧な状態で始まる。ゲームを進めていく過程で失われた記憶が少しずつ回復するのだが、選択したルートによってキャラクターの設定は異なるので、プレイヤーはこのゲームのルート攻略を繰り返すと、様々な人格の「私」をプレイすることになる。

これだけなら特殊というほどのことはないのだが、『AMNESIA』はテレビアニメ化およびミュージカル化されており、それらの派生作品においても主人公は名前が定められていないのだ。さすがに声優や俳優は割り当てられ劇中にはちゃんとセリフのあるキャラクターとして登場するのだが、「記憶喪失」という特性を利用して、主人公の名前を特定しないまま物語を進行させている。筆者はいずれも未見なので詳しいところは分からないのだが、伝聞では最後まで名前が判明しないまま通しているそうだ†8

派生作品では名前が設定されることが多い(前掲の『幻想水滸伝』が該当)中、主人公の名前を最後まで固定しなかったというのは、製作者サイドの強い意志がうかがえる。

男性向けゲームの事例

乙女ゲームの話が出てきたので、美少女ゲームあるいは男性向け恋愛シミュレーションゲームの事例も見てみたいが、大筋は乙女ゲームの節ですでに説明したものと同じである。例えば『同級生』(エルフ, 1992)ではデフォルト名ありで名前変更可能、『サクラ大戦』(セガ, 1996)ではデフォルト名固定、『シスタープリンセス』(メディアワークス, 2001)ではデフォルト名なしの名前入力あり、主人公は登場する12人の妹の兄という設定で、妹達は「お兄ちゃん」「アニキ」などと呼ぶため、主人公キャラクターを指す通称は「兄」であった†9。なお、この二作品ではアニメ化の際に固定名が与えられている。

同様に、役職名が広く使われる例としては、『THE IDOLM@STER』(バンダイナムコ, 2005)の「プロデューサー」や、『艦隊これくしょん -艦これ-』(角川ゲームス, 2013)における「提督」がある。この二作品の場合、アニメ化に際しても主人公は名前を伏せられている。『アイマス』の方はプロデューサーがそこそこ画面に登場しその容貌も明確に描かれたが、『艦これ』の方では提督はまったくといっていいほど画面中に登場しない。アニメ版『AMNESIA』と比べても主人公の画面中出現頻度は低そうだ。

先の『サクラ大戦』『シスタープリンセス』以前にさかのぼっても、ゲームのアニメ化事例において、主人公の名前が伏せられた事例になかなか行き当たらない。これが時代の変化なのかたまたまなのかは筆者にはよくわからない。詳しい方の調査を待ちたい。

ところで、これは筆者のただの印象でしかないのだが、乙女ゲームの二次創作の場合、主人公キャラクターがその二次創作作品に登場する場合は紹介文やサークルカットにその事が明記される(明記されない限り、ほとんど登場しない事が期待できる)傾向があるのに対し、美少女ゲームの場合はメインで扱われるキャラクターの名前のみが示されることが多「かった」ように記憶している。乙女ゲームの二次創作だと、主人公、すなわち女性キャラタクターがその二次創作作品に登場するかどうかを気にする読者が多いが故の配慮だったと思う。ただ、pixiv 等で『艦これ』のタグなどを調べてみると「提督」が登場するか否かをタグで判別できるようにしているようにも見える。これも定量的な調査がない限りは何も言えたものではないのだが、あるいは男性向けゲームの「乙女ゲーム化」が起きている、という話なのかもしれない。

ちなみに、珍しい事例としては、恋愛シミュレーションゲーム『ときめきメモリアル2』(KONAMI, 1999) において、主人公の名前を他キャラクターが音声合成で呼びかける「Emotional Voice System (EVS)」の使用が挙げられよう。既に述べたように、声優にキャラクターのセリフを読ませる事が多いこの種のゲームにおいて、主人公の名前が可変だとキャラクターに名前を呼ばせることができなくなる、というのがそれまで普通だったのだが、EVS では入力された主人公の名前のをキャラクターが声に出して呼んでくれるようになっている。

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さて、このエッセイは別に主人公の呼称問題を網羅的に調査することを目的としている訳ではないので、乙女ゲームや美少女ゲームの調査はこの辺で打ち切って、筆者の好きなオールドゲームの事例調査へと話を移したい。

オールドゲームの事例

さて、筆者の個人的な趣味に従い、もっと古いゲームのことを調べたくなってくるのだが、ゲームが古くなってくると、主人公の名前がどのように共有されていたかを探るのが難しくなってくる。というのも、古いゲームになってくると二次創作作品の情報が少なく、調査が難しくなってくるためである。

ゲームジャンルの二次創作が活発化してくるのは 1980年代後半で、例えばコミックマーケットで「ファミコン」のジャンルコード†10が新設された 1989年あたりが本格化の時期であると見てよいだろう。『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(ENIX, 1988) の時期に相当する。またゲームオリジナルのキャラクターに注目した二次創作が活発化するのは、諸説あろうが、『ストリートファイターII』(CAPCOM, 1991) が稼動開始した翌年に「アーケード」のジャンルコードが新設されたことと、当時のコミケカタログを見ると『ストII』の登場キャラクターをメインに扱ったサークルが急増していることから、1990年前後とするのが一つの見方であろう。

これ以前の同人活動になってくるとゲーム攻略や評論を主体としたものが多く、まとまった動向を探るのはやや難しい。キャラクターを中心に扱ったものもあるとはいえ、ファミコン以前だとアーケードゲームを扱ったものが多く、アーケードゲームの場合は主人公キャラクターの名前が決められているものがほとんどで、呼称問題が持ち上がることがそもそも稀だったように記憶している。なお二次創作に話を限らなければ、ゲーム雑誌の攻略情報でも無名主人公の呼称問題は生じており、広くはやはり「主人公」であったり役職名や種族名を用いる場合がほとんどだったように思う†11

ファミコン以降の場合だと、『ドラゴンクエスト』(ENIX, 1986) の主人公を「勇者」と呼ぶのが、呼称問題への役職名による対応として目立つ事例だが、覚えている範囲では『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』(ENIX, 1990) あたりから主人公ほかパーティキャラクターに注目した二次創作が出始めており、呼称問題への対応策の必要性が生じていたように思う。余裕があれば当時のコミケカタログなどを参照して、『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(ENIX, 1987) の事例などを調査しておきたいところだ。

一方の雄である『ファイナルファンタジー』シリーズの場合は、『ファイナルファンタジーII』(1988) で初めて主人公にデフォルト名が与えられるようになり、以降多くのタイトルでこれが踏襲される。同シリーズで物語と演出に凝るようになったのとおそらくは歩調を合わせてのことだろう。

オールドゲームについても、包括的な調査には時間がかかりそうで、今回はこのくらいで勘弁していただきたい。

ついでといっては何だが、これを調べる過程で、ゲームが他メディア化される際に名前が固定されたケースも調べてみたので、後の調査のためにもとりあえず並べておく。

『ドラゴンクエスト』の場合は、『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』(三条陸・稲田浩司, 1989-1996)で「ダイ」という主人公が登場するが、これは『ドラゴンクエスト』本編とは設定上のつながりが薄いため、該当しないとしてよいだろう。

『ポケットモンスター』(任天堂, 1996)はやや特殊で、主人公の名前を決める際に、自由入力に加えていくつかの候補が提示される。アニメ『ポケットモンスター』(テレビ東京, 1997-)ではその候補に含まれていた「サトシ」が固定名として使われている。

本題から少し外れた例としては、米TVアニメ『Saturday Supercade』(CBS, 1983-1985) にて、『ドンキーコング』(任天堂, 1981)のヒロインがもともと「レディ」というおそらくは一般名詞で呼ばれていたのに対して「ポリーン (Pauline)」という固有名詞を与えており、後にこのアニメの設定がゲームに逆輸入されている。

さらに珍しい例では、西部開拓時代を題材としたゲーム『The Oregon Trail』(MECC, 1971) は、2015年にミュージカル『The Trail to Oregon!(StarKid Productions, 2015) に翻案されているのだが、舞台冒頭で観客から主要キャラクターである家族5人の名前を観客に決めさせるという趣向を見せている†12。なおオリジナルのゲームでは元々名前の入力すらなく、1985年に発売された Apple II 版から家族5人分の名前を入力するようになっている。

ついでのついでだが、コンピュータゲームではないがテーブルトーク RPG『Dungeons & Dragons』(TSR, 1974) は 1983 年に米 CBS で TV アニメ化されているのだが、主役パーティのメンバーに固有名詞が与えられている。ちなみにこのアニメ、なんとゲーム進行役である筈の「ダンジョンマスター」も登場する。

主人公呼称の共有問題を考える意味

さて、ここまでだらだらと並べてきた、主人公呼称の共有問題に関する事例。これを追いかけていく内に、これは色々と面白いテーマに結びつくネタだなあという気がしている。

一つは「乙女ゲーム」の感性に注目していくもので、先述した『アイマス』や『艦これ』は乙女ゲーム的感性なのではないかという疑問をちゃんと追いかけていくのは面白いだろう。参照すべき要素としては、名前変更可能な小説「ドリーム小説」や、キャラクターになりきっての Web上即興会話劇「なりきりチャット」などがあるだろうか。

もう一つは、コンピュータゲームにおける「ロールプレイ」という概念に切り込んでいく方向である。すでに「『透明な主人公』という類型」で述べたように、キャラクター像がある程度明確に与えられ、かつそのプレイ全体は用意されたストーリーに沿わせるためにプレイヤーの自由度が制約されるタイプのゲームは、自由なプレイを好むプレイヤーからはあまり歓迎されにくいが、一方で、主人公キャラクターをも鑑賞(消費)の対象として流通させるのには向いている。二次創作作品が多く登場するのもそのあらわれであろう。

日本の RPG (JRPG) に対する批判として「物語が一本道」「ロールプレイ性が低い」といったものがよくある†13が、その背景を探る上でもこうした調査は面白そうだ。

とりあえずはこっちの方向でしばらく調べてみようと思って、ひとまず表にまとめておいた。今後、さらに方向性を探りながら調査を進めていきたい。

なお、調査の過程で「主人公及び仲間のキャラの名前を変更できるゲーム まとめwiki」を参照させていただき、また色々と加筆させていただいた。

2016.10.17

†1
二次創作での用語。詳しくは pixiv 百科事典の「カップリング」を参照。
†2
ちなみに主人公キャラクターには「マクドール」という姓のみ設定されており、英語圏だと主人公キャラクターを指す呼称としては "McDohl" がよく使われているようだ(参考: DeviantArt の #mcdohl タグ)。
†3
なお、ノベライズ版や漫画版などでは固有の名称がそれぞれに与えられたため、それらを参照して呼ぶ場合も散見されるが、それぞれでバラバラの名前が与えられたためか事例としては少ないのでここでは省く。
†4
pixiv百科事典の「乙女ゲーム」の項目によれば「最近はあらかじめ名字か名前が固定されているタイプが増えつつある」らしいのだが、定量的調査の結果が待たれる。なお、ざっと探してフルネーム固定の例として『S.Y.K〜新説西遊記〜』(オトメイト, 2009)の主人公「玄奘」というのを見付けたが、これは元となる物語があってのことか。キャラクター紹介のページにもその事が明記されているのは面白いところである。
『S.Y.K〜新説西遊記〜』(オトメイト, 2009) Webページのキャラクター紹介より
†5
こうしたゲームを扱った二次創作作品の中に、複数の乙女ゲームの主人公がクロスオーバー的に登場する同人誌があり、複数の「主人公」達を呼び分けるために役職名や愛称が用いられていた。
†6
Web でざっと調べての印象。反例情報お待ちしています。
†7
いわゆる「私は壁」というタイプの考え方。こうした志向については、詳しくは青柳美帆子「〈わたし〉のいない世界は尊い――ファンタジーとしてのBL世界」を参照のこと。
†8
ニコニコ動画における視聴者同士のコミュニケーションでは名前不詳のままでは支障をきたしたそうで、「パウリちゃん」という通称が提案されている。ただしこれはニコニコ動画内での通称に留まっているようで、pixiv でざっと見た限りでは、やはり「主人公」という呼称が大勢を占めているようだ。
†9
余談ではあるが、名前が変更可能なゲームの場合、他キャラクターに主人公に対して愛称で呼ばせるには工夫が必要で、せいぜいが「〜くん」「〜ちゃん」と呼びわけるくらいなのが、『シスタープリンセス』では「兄」という役割を与えることでこの問題を豪快に解決(?)している。
†10
コミックマーケットで事務局が定める出展作品の分類が「ジャンル」で、各ジャンルに割り振られた ID が「ジャンルコード」。開催時期に人気のある分野がジャンルとして登録されるため、二次創作界隈での人気動向を調べるためのとっかかりとして便利。
†11
これも覚えている限りでは、であるのだが、『GAUNTLET』(ATARI, 1985) に登場する四人のプレイ可能キャラクターはそれぞれ固有名が与えられているにも関わらず、攻略情報などでは「戦士」「バルキリー」「魔法使い」「エルフ」と、キャラクターの属性情報で呼ぶことがほとんどだったように思う。固有名はキャビネットに書かれているものの、ゲーム中ではまったく出てこなかったのがその原因だろうか。
†12
YouTube で公開されている収録映像を参照。なお、劇中で誰かを呼ぶときはほとんどの場面で "Grandpa" "Dad" "Kids" といったように、観客につけられた名前を使わずに済むようにセリフが工夫されている。
†13
Barton, Matt『Dungeons and Desktops: The History of Computer Role-Playing Games』(CRC Press, 2008)(amazon) pp.208