靴下を揃えても

靴下はすべて同色同形状に揃えておくと、洗濯して靴下を整理する際にいちいちペアとなる靴下を探さずに済むので効率的だ、という説がある。確か、どこだかの数学者のエピソードとして、昔読んだ本に紹介されていたように思う。

ちょっと前にもこの靴下整理の話が話題を呼んでいたようだけど、あれって、机上の空論だよね。

ぼくの場合、効率云々以前に、靴下の色をいちいち選ぶのが面倒くさいし銘柄もどうでもいい、という理由で、昔から同じ靴下をひたすら買い続けている。前述の理屈で言えば靴下合わせの手間はかからないはずなんだけど、生産ロットの違いによって、同じ製品の同じ色のものでも、わずかに形や色合いが変わっていることがある。加えて、買ったばかりの靴下と古いのとではくたびれ具合が違うので、それも揃えようとすれば、わずかな差を手がかりにする事になるので、色や柄がまったく異なる靴下の中から相手を探すよりもかえって手間がかかる。

さらには、結婚して子供でも生まれれば、それぞれに靴下があることになるので、どちらにしろ靴下探しの作業は必要となるし、人数が増えれば洗濯頻度は増えるので、靴下を探す手間は相対的に減少する。

だったら、たかが靴下くらい好きなように買ったところで、全体の手間に与える影響なんて微々たるものだと思うんだよね。まぁ僕の場合はそれがわかったところで、同じ靴下を買い続けるんだけど。

ところで、昨年ぐらいから洗濯物の自動畳み機の開発が活発化してきているようだけど、上に書いたような、微妙な色合いの変化もふまえて靴下を揃えてくれるようになるんだろうか。

それとも、すべての衣服にはIDチップが埋め込まれるようになって、買った時期やロット番号、相手靴下のID情報なんかも入ってて、それを見るだけで揃えるべき靴下が機械には自動判別できるようになったりするのだろうか。

そんな未来がきたら、洗濯機が「この靴下はこの家の住人のものではありません」なんてメッセージを通知するようになったりして、それで不倫がバレるとか、あるいはクリーニング屋を通じてプライベートな行動ログが流出したりとか、そんなことが起きるようになるのかもしれない。