「考えさせる問題」への疑問 世間で「考えさせる問題」と評価される問題が、かえって考える習慣から学生を遠ざけていやしまいか、という懸念を論じる。というのも、どうも「考える」ということを誤解している学生が少なくないのではないか、と普段の学生指導を通じて前々から感じているからだ。2025.10.9
町を書物のように読んでみよう 寺山修司の有名な言葉「書を捨てよ、町へ出よう」には、「町を書物のように読んでみよう」という続きがある、とどこかで見かけた覚えがあるのだが、確かなことがわからない。出典を探る内に、元ネタとされるジッドの『地の糧』に辿り着き、そこから寺山がどう作り変えていったかが見えてきた。読書も町歩きも創造的な「遊び」として捉える寺山の境地について考える。2025.10.5
SNS から距離を置くことにした SNS が少なくとも自分にとって居心地のよい空間ではなくなったため、距離を置くことにした。ジョナサン・ハイト『社会はなぜ左と右にわかれるのか』などを参照しつつ、どうして自分が SNS に振り回されてしまいがちなのか、その理由を考察する。2025.10.2
日本評論社『完全版 マーティンガードナー 数学ゲーム全集』を応援する マーティン・ガードナーの『数学ゲーム』完全版全15巻の計画が日本評論社から発表され、2017年までに4巻が刊行されたのだが、残念なことに続刊が出ていない。同シリーズの魅力をお伝えし、続刊の刊行を応援する。2023.1.2
なぜニュートンはリンゴの落下から万有引力を発見できたのか ニュートンはなぜ林檎が落ちるのを見て万有引力を発見したのだろうか。既存の説を紹介するとともに、私なりの仮説を述べつつ、アイデアを得るということはどのような現象なのかを論じる。2023.1.1
スティーブン・キング『ミザリー』に施された仕掛けと日本語版における組版ミス スティーブン・キング著『ミザリー』で、原書に仕掛けられていたある記述上のトリックが、日本語版においてはたった一字、書体が違っているせいで惜しくも再現できていないことに、原書を入手してから30年経って初めて気が付いたので報告する。2022.10.3
「本は読めないものだから心配するな」「殺人ジョーク」「バベルの図書館」 『本は読めないものだから心配するな』 管啓次郎(ちくま文庫, 2021) Amazon 商品ページ 管啓次郎先生より、ちくま文庫入りした『本は読めないものだから心配するな』をいただいた。僕はかつて明治大学の新領域創造専攻に在籍していて、管 …2021.12.28
グループ別のビデオ会議で隣のグループの雰囲気が伝わる小細工 オンラインのビデオ会議がどこでも行われるようになり、大学でも講義やゼミをどのように運用するか、試行錯誤しながら進めています。 そんな中で課題となっているのが、グループディスカッションをどうやって運用するかです。教室でグループに分かれて議論を …2020.4.22
美寿々屋の野沢菜キムチが旨い 正月に長野在住の義父に教えていただいて以来はまっているのが、美寿々屋本舗の「はんごろしキムチ」。 野沢菜をキムチ漬にしたものなのだが、これがめっぽう旨い。水分を絞って(故に「はんごろし」)味の濃くなった野沢菜を激辛のキムチ漬にしたもので、も …2020.3.19
本棚は「入手した順」に整理すべし 本棚に本をどう並べるか。タイトル順で並べる、著者順に並べる、背の順に並べるなど色々提案されているが、どうしてみんなこの順に並べないのだろう、と思わずにいられない最高の方法を紹介したい。それは「手に入れた順」だ。 2019.5.16
グラディウスII 6面・高速スクロールステージのマップ PS4で『グラディウスII』にあらためて取り組んでいるのだけど、6面の高速スクロールステージが安定しない。ちゃんとマップを見てルートを確立しようと思ったら意外にネット上に見やすいマップがあがっていなかったので、カッとなって作ってみた。 2019.1.31
ビデオゲームキャラクターのまばたき表現について 電ファミニコゲーマー・しば三角氏による「ゲームキャラが初めてまばたきしたのはいつ?」という大変面白い記事に刺激を受け、まばたき表現の意義とその出自について考察した。「まばたき表現」の定義にもよるが、キャラクターが「生きている」ように感じられる演出を目指したもの、と解釈するなら、その嚆矢を1983年の『Gossip』と『Space Fury』であると本記事では結論する。2019.1.22
乗り遅れたっていいじゃないか 巷に溢れる各種新規サービスについては「本当に善いものなら一年くらい乗り遅れても困らない。もし一年遅れたくらいで損失を被るようなら、それは本当に善いものではない」という信念を獲得して以来、まあまあ心穏かに過ごせるようになった。 2018.5.8
AI の特徴 高橋秀俊先生といえば、日本のコンピュータ研究の最重要人物の一人で、かの「ロゲルギスト」同人でもある。その高橋先生がタイムシェアリングシステムの開発経験からまとめた、機械から見た人間の特性、という文章が知られている。和田英一先生が抜粋転載した …2018.4.26
なぜ話を難しくしてしまうか 論文や解説記事なんかで、あるいは講演で、哲学や数学などの分野から概念を借りてきて説明したりすると、「なぜわざわざ専門用語を使ったりして話を難しくするのか」と言われたりすることがある。さらには「本当に分っているならもっと平易に言えるはずだ」な …2018.3.19
ゲームと記号:記号で描かれる世界 コンピュータゲームには記号的表現が不可欠だが、その「記号」という考え方になじんでもらうために書いたテキストシリーズ。本エッセイでは、ゲームと記号の関係のうち、「フィールド」「マップ」などと呼ばれる領域について取り上げる。2017.7.10
ゼルダの伝説:ブレスオブザワイルド雑感 任天堂『ゼルダの伝説:ブレスオブザワイルド』を Switch でようやくクリアしたので、雑感など。 伝統のアクションRPGとしては、たいへん遊びやすく、またやりこみ甲斐もあって、凄まじくよくできてます。なんでゲームの中でまで天候待ちしなきゃ …2017.7.10