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おしどり硬貨のパズル

江戸時代の頃から日本に伝わるパズルに、「おしどり遊び」と呼ばれるものがある。 碁盤の上に、白石と黒石を三個づつ交互に並べた状態から、隣りあった二つの碁石をいっしょに動かしていく事で、 黒石三個と白石三個の順に並べ換えるというものだ。このパズルを解く手順は下の図に表わされている。

[おしどり遊び解法]

いつもの碁会所でそんなパズルを披露していると、二人の少年が興味深げに寄ってきた。 そこで私は財布を取り出してこんなパズルを持ちかけた。

「今度は碁石じゃなくて硬貨を使ったパズルだ。こうやって1円玉・5円玉・10円玉・50円玉と並べてから、 さっきと同じように隣りあった二枚の硬貨を動かしていって、これと逆の順に並べ換えてごらん。」

と、程なく年下の方が解答に辿り着いた。そこで私はちょっとしたいたずらっ気にかられ、 もう一度財布を開けるとさらにこう持ちかけたのだった。

「よし、そんなら今度は100円玉と500円玉を足して、6枚でやってごらん。 うまくできたらその硬貨をみんなやるよ」


もう日も暮れかけているというのに、その二人の少年はまだ碁盤の前に並んで腰かけて、 6枚の硬貨をああでもないこうでもないと動かし続けている。私は、 まさにおしどりのような二人に本当の事を言い出せないまま、 こうして外に出てきてどうしたものかと考えているところなのだ。

さて、読者諸君にはまず4枚の硬貨を使ったパズルの解答を考えていただこう。 そしてその後に6枚の硬貨を使ったパズルに挑戦していただき、事の真相を正しく理解した方には、 階段を登っていってあの少年達に本当の事を告げてきていただけないだろうか。

[6枚の硬貨]

解答