何故オープンソースソフトウェアを使わないか

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何故オープンソースソフトウェアを使うのか」では、オープンソースソフトウェアを使う利点を列挙した。 反対に、作品制作の上でオープンソースソフトウェアを使う妨げとなる点をこのページでは扱う。

無保証

多くのオープンソースソフトウェアは無保証で公開されており、そのソフトウェアが動かなくなったり誤動作したとしても、その責任をとる者がいない。

もっとも、市販ソフトウェアを使っていたところで、「突然動かなくなってすべて台無しだ。責任取れ」 と言ってもメーカーが責任をとってくれることは滅多にないだろうが。

サポートがない

一部のソフトウェアでは有償のサポート体制を整えていたりするものもあるが、大多数はサポートがない。 開発者に聞けばたいがいのことはサポートしてくれるだろうが、その保証はないし、いつでもすぐに応えてくれるというものではない。 現場での咄嗟の対応が必要な場合に頼れるものがない。頼みの綱はソースコードが公開されていることくらいだ(これはこれで優れた利点ではあるが)。

一方で、中身まで詳しく知っている者が沢山いるという部分もあるので、ゆっくりでよければじっくり対応してもらえるという期待もある。 また、企業のサポートといえどそんなに期待できるものではない。

使っている人が少ない・情報が少ない・ノウハウの蓄積に乏しい

上で述べた「サポートがない」現状をカバーするには、他に使っている人を頼るか、市販の書籍ないしネット上で得らる情報を漁ることとなる。 しかし、業界全体を見渡せばオープンソースソフトウェアを使っている人はまだまだ少ない。そのため頼れる人も限られてくる。 またユーザー数が少ないため書籍の数も僅かだ。ネット上の情報も、紹介やインストール手順程度のものは多く見られるが、しっかり使いこなした人が解説した 詳しい情報となるとなかなか見付かるものではない。

互換性の問題

さらに上と関連するが、複数人でデータを共有したり受け渡しをするような場合に、市販ソフトウェアとのデータ互換性の問題が生じる。 特に出力業者へのデータ渡しや作品の納入といった場面では、先方から特定ソフトウェア用のフォーマットを指定されたり、 共通フォーマットであったとしても特定ソフトウェア上で生成したものでしか出力結果を保証してくれないということが多い。 こういった場面においては当然出力結果が優先であろうから、その指定ソフトウェアを使うことになるだろう。

こうした事情が生じる原因はやはりユーザー数の少なさが一因であろう。業者側の事情として、入稿を受け付けるソフトウェアに ついては徹底したテストをする必要があり、あまり需要のないソフトウェアであればそのテストは避けたい。 有名市販ソフトウェアであればベンダ側でテスト済みであったり、またそのサポートをしてくれる場合もある。 ものによっては出力システム全体をベンダで一貫した製品として出荷している場合もあり、そうしたシステムでは なおさら他ソフトウェアからの出力は応じられないだろう。

こうした状況を打開するには大きな労力が必要となる。一例だが、組版システムの TeX は学術分野では多くのユーザーがいるため、 学術論文の出版を受け付けるような出版業者や印刷所では TeX によるデータ入稿を受け付けるところも多い。 その状況に至るまでには先人達の多大な努力があればこそだ。また、ASCII の EWB のように、出版社が自ら取り組んで成し遂げたような事例もある。

ほとんど英語

多くのソフトウェアが英語圏で開発されているか、コミュニティでの公用語が英語である。これは世界中の開発者どうしで意志の疎通を図るためには仕方のないところだ。 日本での利用者が多いソフトウェアだと、有志の手で日本語に翻訳した文書が整えられていたり、日本語で会話できるコミュニティが構築されていることもある。 しかし、何故か映像・音楽分野のソフトウェアではこうした動きが鈍く、なかなか有益な情報が得られない。

なお、このサイトは、そうした状況を打開するために役立てばいいなぁと思って設置された。積極的に利用していただければ幸いである。

ライセンスが合わない

オープンソースソフトウェアはすべて何らかのライセンスに従って公開されいてる。そのライセンスが使用目的と反する場合には、 そのオープンソースソフトウェアを使うのは難しい。

よくある事例では、GPL で配布されているソフトウェアのソースコードを流用したソフトウェアを作成した場合、 そのソフトウェアを受け取った人に対してはそのソフトウェアのソースコードも公開する義務が生じる。 ソースコードを手渡したくないのであれば、GPL のようなソースコード公開義務を要求するライセンスで公開されたソフトウェアから コードを流用しないようにするか、そのコードの著作者に他のライセンスで供与してもらうよう交渉するしかない。

その他

その他に「オープンソースソフトウェア使えねぇ」と思う事例があったら、このページのノートに記していただきたい。